151．きょ、京子ちゃん！ ページ1
「A！」
「京子、どうしたの？」
週末。やっと休みがきたと喜んでいたのもつかの間、訪ねてきた京子の姿を見て“今日遊ぶ約束していたかな”と記憶を手繰り寄せる。
すると、彼女は「知らない道をお散歩してたら、Aの家の近くに辿り着いたの！だから来ちゃった」といたずらっ子のように笑った。あまりの愛らしさに何とも言えない気持ちになり、参ったとでもいうように「少しあがってよ」と自室に案内する。
「久しぶりのAの部屋だ〜」
「最近は外で遊ぶことが増えたもんね」
「うんうん」
「いつかお泊まり会とかしたいね！」と私の出したアイスティーを片手に彼女は楽しそうに笑った。「そうね」と笑いかけながら京子を待たせ、外に出かける準備を始める。
軽く化粧して、彼女と同じような少しラフなワンピースに着替えていると、京子が「そういえば、Aのお母さんは？」と話を切り出した。
「なんか、今日からまた出張だって」
「そうなんだ！大変だね」
「ねー。……よし、準備できた」
どこ行く？と京子に声をかけながらとりあえず2人で家を出る。お昼ご飯にしては時間も早いし、買い物でもしようかと話していたときのことだった。
「これでは結局勝負にならん！ヤメだヤメ！」
「え！？」
「やはり手っ取り早く決闘で勝負するしかないな！」
綱吉の家から聞き覚えのある声がして驚いていると、気がつけば京子が走って彼の家を覗き込んでいた。少しの嫌な予感に足取りが重くなる。
やっとの思いで京子に追いつき、「お兄ちゃん！」と叫んだ彼女の背後から家の中を覗き込むと、そこには＿＿。
「きょ、京子ちゃん！」
京子を見て顔を赤らめながら立ち上がった綱吉が視界に入り胸を締め付ける。はいはい、私はお呼びでないですよね。あからさまな綱吉の態度にイライラして、ここにいることがばれる前に姿を隠そうとしていると奈々さんと偶然目があった。
「京子ちゃんに、Aちゃんじゃない！」
「え、Aっ」
「奈々さん、久しぶり」
彼女に声をかけられ、ようやく綱吉が私の存在に気がついたのか動揺しているのが伝わってくる。避けてた人物が目の前に現れたら気まずいのもわかるけど。
「お兄ちゃん、決闘って聞こえたけど喧嘩のことじゃないよね？」
「も、もも、モチロンだ！」
京子の言葉に「大丈夫よ、京子ちゃん。2人ともいい子だから」と笑った奈々さん。帰るタイミングを逃したと気づいた頃には部屋に招かれていた。
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作者名：√A | 作成日時：2023年7月6日 19時
