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『…ちょっと待って、ミカちゃん』
「?…なっなに?A」
『こっち向いて』
「急に…どうしたの?」
『いいから!』
ずっと下を向いて歩くミカの様子に不審がったAは無理矢理顔を覗かせた
「あ、A……まっ、!」
『…やっぱり。』
Aの予想通り
汗を垂らしながら剥き出しの牙で唇を噛み、喉の乾きを我慢していたミカ
その瞳は今すぐにでも襲いかかってきそうなくらいだ
Aと目が合うと、ドクンッと更に吸血の衝動に駆られそうになる
「…ご、ごめんA…っ…Aの隣にいると、その…甘い匂いに我慢出来なくて…。大丈夫だから、気にしないで…ごめん」
なんとか理性を保とうと苦しそうな表情で再び歩き出したミカの腕をグイッと引っ張る
振り向かせたミカの顔を両手で包んだ
『ミカちゃん、飲んでいいんだよ』
「嫌だ…飲みたく、ない」
『私は他の誰かの血をミカちゃんが飲む方が嫌だよ』
『だから、ね?』と
食いしばって出たミカの唇の血を優しく指ですくい取り、ペロッと舐めた
その瞬間ミカの中でプツンと何かが切れ、勢い良くAの首筋に噛み付いた
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『…っえ?優ちゃんが?』
「ああ、そうなんだ」
ミカはAを部屋に連れ込み、数時間前にフェリドから報告された事を話した
二人の大切な家族である百夜優一郎が見つかった、と
Aは目を見開き、『そっか…』と頬に涙を伝わせた
『生きててくれて良かった…』
「…うん…。A泣かないで、」
拭いでも拭いでも涙が止まらないAをミカは優しく抱き締めた
一定のリズムでトントン…と背中を叩いてやる
落ち着いてきたAはミカの背中に自分も手を回し、『ミカちゃん…』とぎゅっと抱き締め返した
『…いつか会えるのかなあ』
「一緒に会いに行こうA。そして優ちゃんを人間達から守るんだ」
『でも…』
「クルルの事なら任せて。僕が居れば心配無いだろうし、Aのことは何があっても守るから、ね?」
体を離し、コテンと首を傾げるミカ
ふふふっとAは笑った
『そうだね。ありがとうミカちゃん、大好き!』
もう何年もミカにしか見せていない満面の笑み
いつまで経っても慣れないその笑顔と言葉にミカは顔を赤くし、照れ臭そうに頬を掻いた
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R(プロフ) - コメント失礼します!面白いです!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2020年5月19日 9時) (レス) id: 104d0cd352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もあい | 作成日時:2020年5月18日 21時