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「…"死ぬまで私の所有物になる"
あの時の約束、勿論覚えているな?A」
あれから長い年月が経った
女王であるクルル・ツェペシは玉座に座らせた彼女の黒髪をそっと撫でた
そのまま手を下に滑らせ頬を包む
『はい。私が命をかけてクルル様をお守り致します。』
Aと呼ばれた少女はそう言って微笑んだ
その様子にクルルは呆れたように溜息を吐く
「…はぁ、何回も言うが戦う必要など無い。
お前は特別なのだから。」
そう言ってAの首元にクルルが顔を近づけた瞬間、コツコツ、と足音が響いた
クルルは顔を顰める
「あれ、お食事の邪魔でしたか?」
「ああ邪魔だ、フェリド。今すぐ失せろ。」
「相変わらず酷いなぁ…丁度いい、僕にもAの血を分けて下さいよ」
「断る。Aを普通の人間と一緒にするな。」
辺り一面に広がるAの血の甘い匂い
" 最高級の人間の血 "
Aの血はそう呼ばれ、吸血鬼の上層部からも重宝されているのだ
だから殺されることも、味が落ちてしまうので吸血鬼にされる事もない
一度も味わったことのないその味に、フェリドは牙を光らせ、ゴクリと唾を飲み込んだ
「フェリド。Aをいやらしい顔で見るのはやめなさい。」
「だって〜」
「だってじゃない。要件があるならとっとと話せ」
「…要件があるのは僕じゃないんだ。ほら出ておいで、」
『っミカちゃん!』
フェリドの声で姿を現したミカエラ
Aは嬉しそうに玉座から立ち上がった
「Aに話があるんだ…ちょっといいかな?」
『クルル様…』
「ああ、行ってきていい。」
Aは階段を下り、真剣な表情のミカに駆け寄った
ミカはそんなAに優しく微笑むと「着いてきて」と手を握った
Aにとっても、ミカにとっても家族と呼べる存在はお互いのみ
ミカは横目でAを見て再び微笑み、話さないように手を強く握った
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R(プロフ) - コメント失礼します!面白いです!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2020年5月19日 9時) (レス) id: 104d0cd352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もあい | 作成日時:2020年5月18日 21時