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偶然か必然か、はたまた幻か。

昔々に別れたアイツを見かけた。

思わずその名を呟いた。

ふと我に返り、早々にその場から立ち去ったから、きっと向こうには気づかれていない。


俺が知っているヤツではなかったが、間違いなくそいつだった。

独特な着こなし、センス、一瞬だったけれど、すぐにわかった。

そっか、高校生か。

普通に高校生になったんやね。


俺は、進学をそうそうに諦めてこの業界1本で生きていくと決めていた。

いつの日にかの歌コンテストに出させられて、スカウトを貰ったあの日から。

特に勉強が出来たわけでもないから流れるようにそのスカウトを受けた。

おかげで少しは有名になることが出来た。


向こうとこっちを行ったり来たりするのが面倒だったから、こっちに下宿しているけれど、


そっか、ヤスもこっち来とったんやね。

連絡先なんて知らない。

でも、またどこかで会えると思った。

踵を返し、目的地に向かおうとすると、



「渋やんっ…!」



「…?」



懐かしい呼び名、懐かしい声。

振り向けばさっきのチャラ系の高校生。

俺とアイツとの距離はおよそ遠く、人が通り過ぎる中に立ち止まる2人。

何事かと、チラチラと見られる。

小走りでこちらに近づいてくる。


「渋やん、久しぶり。」


「…おう。」


突然すぎて、久しぶりすぎて、反応が鈍った。

対し、にこやかにこちらを見つめるヤス。


あぁ、思い出した。

あの日のノリで、あの日の笑顔で、


「なんや、俺が逢いいく言うたのに。」


「でも最初に呼んでくれたのは渋やんやろ?」


どれだけ時が過ぎようと、見た目が変わろうと、

どんな過去があろうと。

コイツはコイツで、俺は俺のまんまなんやな。

道の真ん中で、何故か不思議と笑っていた。





『また逢えたね』









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お久しぶりにストーリーが降ってきた…!(笑)

ちんたら続けて行きますので、これからも何卒。

4.風呂の誘い方→←3.相手が無理して逢いに来てくれる



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作者名:Haru | 作成日時:2018年6月28日 19時

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