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ベルトに手をかけ、下に手を伸ばそうとした時、玄関が開く音がした。
「ただいま〜」
少し疲れたような、掠れた声が耳をくすぐった。
背筋に何かが走った。
足を少し引きずって歩くクセがあって。
そんな音もまた。
「っ…」
「なーにそんないやらしい声出しとんの？」
開いた扉の隙間から妖しい笑みを浮かべてこちらを見下ろしてくる。
「溜まっとるんなら言ってくれればええのに〜」
そう言いながらこちらに近付いてくる。
「俺のシャツでヌいてるって考えると、結構ヤバイ」
「っ！」
「ええよ。そのまんま続けて。」
まだイッてへんのやろ？と。
「ヤス…、そんなキャラやったっけ？」
「しゃーから言うたやん、大分ヤバイて。」
なるほど…スイッチ入ってんのか…
でも自分でヌくなんて久しぶりだから、全く感覚が分からない。
「も、むり…」
「なにが？」
いやこいつ、なんでこんな平然とした顔してんねん。
俺の方が恥ずかしわ。
「…いや、だ、から、」
「…へぇ？」
やったら、と切り出したから、期待した俺が悪かった。
「可愛く強請ってみせてくれてら、イかしたる。」
ですよね…
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あの後。
自分に負けた俺は誠心誠意をこめて言ってやった。
「お、願いします、っ…い、イかせてください…」
日差しが眩しい。
目が覚めたら隣にヤスがいて。
あぁ、幸せだなって思った。
でも、立てる気がしない。
なんで彼奴元気そうにしてんねん…
「いやぁ、ごめんな？久しぶりでさ。」
許さねえぞ…
「…好きだよ。」
「は？」
軽く触れるだけのキスをされた。
「何時までも、こうやって、過ごせたらええね。」
ふと、どこか寂しそうな顔で笑っていた。
「何言うてんねん。」
たまには、柄にもないことを言ってみるか。
「こんな生活なら、悪くないな。」
「なんやねんそれ」
今の俺は、上手く笑えていますか。
上手に、やっていけていますか。
こうやって、愛されている俺は、幸せですね。
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作者名：Haru | 作成日時：2018年6月28日 19時
