深夜2時の帰宅 (ページ2)

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「みっちゃん辛そうだったね、大丈夫そう？」

渉はメンバーの中で唯一、俺たちの関係や同棲してることを知ってる

「大丈夫だろ、子供じゃないんだし」
「映画の撮影も始まったみたいだし、忙しそうだもんね、疲れが溜まってんのかな～」
「忙しいのは嬉しいことじゃん」
「いやまぁ、そーだけどね、今日は早く帰れるように巻きで頑張りますか」
「手抜きはしねぇぞ」
「じゃなくて、集中して終わらせて、早くみっちゃんのとこに帰ろーねってこと」
「わた、仕事中にそーゆーこと言うな、どこで誰が聞いてるかわかんねぇ」
「へいへい、さっきから誰にラインしてんだか～」

呆れた様に言いながらも、俺の手元を見て意味深にフッフーンと笑うと、ロケバスの後ろの方に座っているスタッフさんのとこに、マグロがどーのこーの言いながら移動していった

そう、渉にはもちろんお見通しの様で、会話をしながらもスマホを持った指は忙しなく動かしていた

一足先に帰宅している北山にライン

【ちゃんと寝てる？】
【おう】
【おわったらソッコー帰る】
【はいよ】
【あったかくて寝ろよ？】
【おう】
【辛いとこない？】
【大丈夫】
【買って帰るモノある？】
【大丈夫】
【寒くない？】
【大丈夫だっつーの、ガキじゃねーから】

あ、そうでした

深夜2時

静かに寝室のドアをあけ、忍び足でベッドの脇まで歩み寄る

サイドのライトをつけ、様子を伺う
暖かなオレンジの照明に浮かび上がる小さな寝顔

まだちょっと辛そうだな
どれどれ、熱はどうだろ

前髪をソッと横に流してやり、額と額を合わせる
少しまだ熱いけど今朝よりはマシにはなったかな

帰りにコンビニで買ってきた冷えピタを刺激しない様にソッと額に乗せ、手のひらで優しく馴染ませる

「ん…」

気配を感じたのか、眉がピクッと動きゆっくりと瞳が開いた

「ただいま」

「ん、お帰り、たいすけ…」

覚醒しきってない意識のまま、優しい笑顔を見せて、2人きりのときにしか呼ばない下の名前で呼ばれて、ちょっと頬が緩む

ったく、不意打ちに呼ぶなよな
たまらなくなり、唇と唇を軽く重ねる

チュッ…

「今日はおつかれ、よく頑張ったな」
「コラ、うつるぞ…」
「ふふ、いいよ」
「良くねー」
「はいはい、大丈夫だから、ゆっくり寝な？おやすみ、ひろ」
「ん、おやすみ…」

しばらく柔らかい茶色の髪を撫でてやると気持ちよさそうな寝息をたて始めた

「…にゃん…」

えー‼夢の中でも猫になってんのー⁈

完.