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『もしもし?』


[貴方、今日は何時?]












いきなりそこか。
相変わらずだな。この母親は。












『そうだな、晩、いい?』



[ええ。仕方ないわ。もうすぐだもの。]




『了解。そっちは?』



[そうね、二人かしら。待つ訳にもいかないしね。]



『待たせているから、切るよ?』



[そうね。ちゃんとやるのよ?]



『分かってる。じゃあ、また。』








ぷつり。電話が切れた。
え?如何云う事かって?







うちの家は主語というか、言葉がほぼない。頭の体操としてらしいけど。





お陰様で人の様子だとか声色とかから察せられるように。




因みに先程のはこんな感じ。










[貴方、今日は何時“帰るの?”]


『そうだな、晩、“ご飯、食べてきても”いい?』


[ええ、“時間だし”仕方ないわ。もうすぐ“暗くなるん”だもの。]


『了解。そっちは“晩御飯どうするの”?』


[そうね、“蒼音と”二人“で食べよう”かしら。“貴方やお父さんを”待つ訳にもいかないしね。]


『“友達を”待たせているから、“電話”切るよ?』


[そうね。ちゃんと“迷惑掛けずに”やるのよ?]


『分かってる。じゃあ、また“帰る時に電話するよ”。』














あれ、此れ凄い怪しくないか?
ぱっと見、黒い人たちの任務上の会話みたいである。






真逆、聞かれていないよな?
あたりを見渡すが、誰もいない。良かった。



















『すみません、遅くなりましたね。』





「いえ、そんな事ないですよ!」



『ふむ……晩御飯としてのお勧めはありますかね?
毛利さんらは良くいらっしゃるのでしょう?私、しっかりとした食事は頼んだ事が無くてですね……』


「そうですね……どれも美味しいんですよ!晩御飯かぁ……」







沢山悩んでくれる毛利さん。優しい。
どれにしようか。







「お悩みですか?」





『わっ。』








「えっ、今Aさん驚きました?」



『え、ええ。まぁ。』



驚いても真顔なんだ……


『はは、本当に動かないんですよね。顔。』


「えっ、す、すみません!」







はは、本当に動かない。
ここまで動かないとなると、演技辞めた時、本当に動かなくなりそうだ。






『大丈夫ですよ。えーと……』





「榎本梓と言います!もしお悩みでしたら、カラスミパスタがお勧めです!」









カラスミパスタか……
確か榎本さんの特製だっけな。








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作者名:ヨルノ | 作成日時:2023年7月10日 17時

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