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✿prologue✿ ページ1









僕は独りだった。











それに気づいたのは十二歳の頃。
新たな学び舎に足を運び入れる頃だ。



新たなクラスメート(他人)と出会って、
ふとした時に考えたんだ。







僕の家族は、皆と違う?







どことなく疑問に思うことはあった。






僕が十一の頃。僕の弟、蒼音が親と喧嘩した時。
蒼音は他人より捻くれていて、しょっちゅう両親と
喧嘩をしていた。


僕自身、受験をしなくちゃいけない年頃。
両親には勉強のことでしょっちゅう叱られ、
ひたすら泣いていた。
蒼音の方が先に反抗しては怒鳴られ、殴られるのをみて、僕はとても抵抗しようとは思えなかったんだ。



だから僕は、この時も無視するほかはなかったんだ。




普段、蒼音は怒られた後は物に当たってしまう。
だから物音がするはずだった。
でも、この時はしなかったんだ。
疑問に思った父が、部屋を覗いた。




そうしたら、蒼音が窓から身を少し乗り出して、
外を眺めていた。


僕も気になっていたから一緒に見ていた。
だからすごく焦った。蒼音が、弟が死んじゃうって。
でもね、父さんはこう言ったんだ。













「何をしている?!通報されるから降りろ!!」












僕は一瞬、呆気にとられた。
なんて、言った?
なんで?蒼音の心配は?



でもその後は、ちゃんと蒼音を心配していた。
所々怒りながらだったけど。












まだ信じていた僕は、その時の事はあまり深く考えなかったんだ。






あの人たちが、僕らを、僕を、愛しているわけ無いのに。







僕が十二になって。蒼音も受験期に入った。
蒼音と両親の喧嘩もエスカレートしていったんだ。
僕が寝るころになっても、まだ喧嘩をしていて。
稀に寝ながら泣いてしまう事もあったんだ。
なんで泣いていたのかな。




そして、中学生になって。漸く気づけたんだ。
僕の家はおかしいんだって。
普通は毎日のように怒号は聞こえないし、
殴ってこないし。夜な夜な泣くようなこともないんだ。


それから気づいた。
あの時の、父の言葉は、僕らを、





愛していない


ってことだったんだと。





蒼音も捻くれて具合が酷くなって。
僕のことも嫌うようになった。
いや、これは当たり前なのかもしれない。
だって、僕はお兄ちゃんなのに、弟を無視したんだから。










こうして僕は、独りになった。








これは、そんな僕のお話だ。

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作者名:ヨルノ | 作成日時:2023年7月10日 17時

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