この恋を知るまでは（SK）

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宴会が終わった。
一回り小さい宴会場に移動して二次会。
泣いたついでにお風呂に入りに行ったりする先輩とか、もう眠くてだめって感じで自分の部屋に帰っちゃう人とかもいて、少し人数は減った。


小さな畳の部屋に低い長机が３列くらい置いてあって、みんな部屋の隅に積み上がった座布団を各自持ってきて好きなとこに座ってる。端っこの方に小さいカラオケのセット。
出入口そばの長机に担当の人が買って持ち込んだ缶のお酒とか焼酎とかペットボトルのソフトドリンクとかが置いてある。あといろんなお菓子と紙コップ。


香也子とお酒が置いてある長机のそばに座る。香也子はもう赤い顔して体を揺らしてニコニコしてる。

「香也子酔ってる」
「んふふ〜Aだって顔まっかだよ〜」
「そういえば今回伊野尾くんのマークがゆるいね」
「…………」
「なんかあったの？」
「…………うう」
「……あったのね」
「あ！まっすー！」

香也子が急にまっすーを呼んで話を逸らす。
そうね、ここで深い話になってもね。
向こうに伊野尾くん本人いるしね。

ちょっと離れたとこで飲んでたまっすーが、ニコニコしながら鏡月のびん持ってきた。
ちょっと沈んだ気持ちがほんわかあったかくなるような笑顔。


「うぇーい！何お前ら２人して顔真っ赤じゃん！大丈夫？」
「うぇーい！鏡月いぇーい！」
「まっすーかんぱーい！」
「あ……おん、ありがとう……」
「ちょっとまっすー！ありがとうじゃないよ！」
「乾杯とは！さかずきを乾かすと書いて乾杯と読むのです！！」
「さあ飲んで！」
「ひー！酔っ払い怖い！やだやだ！」

同期のいつも通りのノリ。
まっすーが迷惑そうな顔で笑いながら座る。

「もぉー！酔っ払い〜！あ、シゲ！シゲ〜！！こっち来て！！」

シゲの名前にいちいち息が止まる。
チラッとシゲの方見たら、小山さんと飲んでた。小山さん、泣いてる。可愛い。
シゲはこっちの方を見て、ははは、って笑ってそのまま無視してあっちで飲んでる。


「ね！なんかあったの？お前ら！」
「…………」

まっすーの質問にびっくりして黙ってたら、香也子が答える。
「……なんかって何！」

「なんかって……なんだろうね、俺もわかんないけどぉ」
「なんもないよ！」
「それかさぁ、あれかな、シゲさぁ、エマちゃんに他の女の子と話しちゃイヤッ！とか言われてんのかなぁ」

まっすーがふーん、て唇を前に尖らせながら言う。

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