総転換 ページ9
「救助！？あれ救助だよね！？」
こちらにどんどん近付いてくるヘリコプターの音に負けじと声を張り上げる及川さん。
その目は、離れた場所からでも希望に満ちて輝いているように見える。
私が彼と出会って初めて見たとんでもなく明るい表情だ。
「及川！救助される前にそこから落ちるなよ！」
「分かってるよそれくらい！」
相変わらず及川さんに対してまるで保護者のように注意する岩泉さんも、表情と声色が何処か明るい。
松川さんも花巻さんも、声こそ発していないもののヘリコプターにぼうっと見惚れている。
二人共空から天使が舞い降りてきたのかとでも言いたげな顔をしていた。
そんなメンバー達を、私はただ静かに見ていた。
珍しく黙り込んで、額や眉間にシワを寄せながら彼らとヘリコプターを見ていた。
_____気付いたのだ。
これは救助なんかじゃないと。
「………ザンカ？どうした？」
「……………違う…」
「違う？」
「これ、救助なんかじゃないです。
これからもきっと、救助は来ないです。」
静かだった私にやっと気付いた岩泉さんに、私はぼんやり空を仰ぎながら呟いた。
うわ言のように、でもハッキリと言い切った。
助けは来ない、と。
「なんだそれ、どういう…」
岩泉さんは『それはどういう意味だ』と聞きたかったんだろう。
その言葉を遮るように、私は上空を指差した。
1つだったヘリコプターの影が、2つになった。
1つは校舎の上を通り過ぎ、もう1つはグラウンドへとパラシュートを使ってゆったり落ちてくる。
コンテナだった。
あのヘリコプターは救助の為にここに来たのではなく、このコンテナをこの街の生存者に届ける為に来たのだ。
私はいち早く、それに気付いてしまっていたのだ。
視力が良かったせいで、近くまで来たヘリコプターが何をしようとしているのか見えてしまった。
そしてそれと同時に、もう1つ気付いていた。
「なんだそれ…なんでコンテナなんかがここ運ばれてくるんだよ…」
「………半端な形で見捨てられたんですよ。」
「…見捨てられた？」
「『救助はこの先しない、貴方達がどんなウイルスを持っているか分からないから。
でもだからといって殺すのもなんだから必要な生活用品は支給する』…そう言いたいんじゃないですかねぇ、きっと。」
メンバー達の中で、希望と絶望が総転換していくのがなんとなく分かる。
黒い何かが、蠢いている気配を背中で感じた。
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Guilty(プロフ) - あられさん» ありがとうございます、マイペースにはなりますがこれからも更新頑張ります(`･ω･´) (2020年7月27日 19時) (
レス) id: 69dc25e7cf (このIDを非表示/違反報告)
あられ(プロフ) - 夢主ちゃんがイキイキしてたりするの可愛いです…応援してます！ (2020年7月27日 19時) (レス) id: 6a0064c66d (このIDを非表示/違反報告)
Guilty(プロフ) - 悠奈さん» お気に入り追加にコメントまでありがとうございますm(__)mこちらのメインストーリーに他校のキャラを登場させるかはまだ悩んでおりますが、実は外伝なんかも考えていたりするので…そちらに登場させようかな？とは考えたりしております(´-`).｡oO() (2020年7月21日 0時) (レス) id: 69dc25e7cf (このIDを非表示/違反報告)
悠奈(プロフ) - お気に入り追加させていだきましたリクエストとかっていいですか？もしよろしければ他の学校人たちにあって欲しいなとか思ってます続き楽しみにしてますｔ (2020年7月21日 0時) (レス) id: ab20161c8e (このIDを非表示/違反報告)
Guilty(プロフ) - bu-koさん» 私の趣味を詰め込んだだけの超自己満足な作品なんですが、楽しんで頂けているなら幸いです(^O^)マイペースではありますが、これからも頑張って書かせて頂きますm(__)m (2020年5月28日 11時) (レス) id: 1867eff1d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Guilty | 作成日時：2020年3月14日 1時
