【ハイキュー】それでも、この世界で ―3―

やってみたかったヤツ ページ43

まずは自己紹介を済ませ、私達側の持つ情報を先に話す。
それから、4人にどういう経緯でここにいるのか話を聞いた。

とりあえず彼ら4人組から聞いた話をざっくり纏めると、4人がいた学校は突然校内に侵入してきたゾンビ、そしてゾンビに感染していく人達の姿が確認された事で皆パニックに陥ってしまった。

そのうち、感染が広がっていくのを見た4人はなんとか校内から命からがら脱出。
だが、街にもゾンビが溢れていてとてもじゃないが落ち着けない。
そんな時に私達が出入り口を塞いだビルを見つけ、バリケードを1つ壊してビルの中のこの部屋に避難したそうだ。

「で、その時に扉は閉めたけどバリケードは直すのを忘れて…？」

「あ、ああああの、すみませんっ…！
俺、ゾンビが扉開けたりしないだろうからって思って、それで…！」

「それはもういい、気にすんな。
俺らには怪我もないしなんともなかったから。」

小柄な少年、日向と名乗った彼は話しながらずっと謝り続けていた。
私達の話を聞いて、屋上での出来事を自分のせいだと思い詰めてしまっているのがひしひしと伝わってくる。

「でも、ザンカさん俺のせいで危ない目に…」

「ゾンビのヨダレ顔で浴びただけだよ、気にする事じゃないって。」

「ザンカちゃんそれは気にした方がいいよ、年頃の女の子なんだからちょっとくらいは気にしようよ」

「私そこまで潔癖じゃないですし」

「そういう事じゃなくて…！」

場を和ませようとゾンビのヨダレの話をしたら今度は及川さんが騒ぎ出してしまった。
まあそら人に唾吐きかけられたりしたらそれはやだけどさ。
相手ゾンビだぜ？ヨダレどころか色んなもん(意味深)を垂れ流しながら来るんだぜ？その色んなもん浴びるくらいならヨダレはまだマシな方では？

「………まあ、私は気にしてないんで。
そこまで思い詰めないでくれよ日向君、こんな状況だし生きてりゃとりあえず大丈夫大丈夫。
あと何より……………」

「…え？な、何より…？」

「私こういうのやってみたかったんだよ…！自分の所属してるチームと他の人達との情報交換…！これ楽しい！面白い！」

情報交換。響きだけでもなんかカッコいい。
遂に、遂にだ。それをリアルの世界でやれてしまった。
ザンカちゃん、なんかの秘密組織に所属してるみたいで楽しくて仕方ないよ。

後ろから見てる及川さんの視線がなんか痛いけど。
なんなら、金髪で眼鏡を掛けた一番身長高い月島君にもなんか異様な目で見られてるけど。

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