からの対面 ページ9
カチャッ、と無機質な音が小さく廊下に響いた。
その音に顔を上げると、今度はガラッと大きく扉が開く音が響く。
すると、
「ん…?え、え!?」
私の格好、持ち物を見てか驚く茶髪イケメンさんが現れ、
「ぎにゃぁぁぁッ!?で、デカッ、巨人ッ!?」
盛大に失礼な悲鳴を上げる私。
「………」
そしてそれを無言で驚きながらも見つめる少し目付きの悪い方。
このシリアスな状況に似合わぬシュールな絵面が出来上がってしまった。
これはこのままだと少しばかり面倒な事になりかねない。
そう勘付いた私は「ちょっと色々説明しますんで!入らせてください!」とだけ話し、無理矢理体を扉の向こうの薬品の匂いが漂う部屋へねじ込んで扉の鍵をキッチリ閉めておいた。
「え…え…?ごめんちょっと待って、君ここの生徒なんじゃ………?」
「生徒です!ちょっと着替えてからここまで来たんであれですけど!」
「いやなんで学校にそんなの持ってきてんの!?」
…だが、これはこれで色々と面倒な事になってしまった。
そうだよな、ゾンビが増殖してるの目の当たりにしてるのにこんなのが来たらそりゃ余計混乱するわ。
しまった生き残った人間と接触する事になるというシナリオがあるかもという可能性がある事も考えていなかった。私とした事が。
という訳で、何故こうなったのか説明する流れに持っていき経緯を全て説明。
なんとか私がそこまで変な人間ではない…と分かってもらえた。はず。
「…成る程。それでそんな武器持ってたのな………」
何か腑に落ちた表情で武器を眺めている少し目付きの悪い彼が岩泉さん、
「いやでも、なんでその服…?
絶対制服の方が安全な気するんだけど…」
私の服装のカッコよさが分からないのか、まじまじと眺めながらそんな事をボヤく茶髪イケメンが及川さん。
人の名前覚えるの苦手だけどなんとか覚えたぜ。
「そりゃそうですよ、所謂コスプレ衣装ですし。
でもゲームの主人公みたいでロマンあると思いません?」
薬品がずらりと並ぶ棚を見て我慢出来ず物色しながらそう答えてみるも、二人共に微妙な表情で眺められ少しばかり傷付いてしまった。
いいじゃないか、どうせゾンビ増殖して理性なんてとっくに失ってるんだし。
人間に出会しても私に興奮する変人はいないだろうしな。
『なんだコイツ』と言いたげな二人の先輩の視線を躱しつつ、私は物色を続け気に入った薬品を鞄の中に放り込んでいった。
80人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Guilty | 作成日時:2019年5月28日 2時