語彙と選択の自由、その面倒な因果関係について真面目に考えて ページ47
あえて別の選択肢もある、と嘯いた。
私は多分世間一般の女子高生よりは語彙が豊富で、使う言葉の重みじゃないがなんかオーラ的なものが違うと思う。
…今のこの台詞で語彙無いじゃんって思われたかもしれないな。気を付けよう。
まあともかく、妙に堅苦しい言葉を厨ニチックに話す癖があるせいで必要以上に緊張させてしまうかもしれない。
そう考えて、あえて私としてはあまり選びたくない別の選択肢もあるにはあると彼らに伝えたのだ。
…本音としては、他の策面倒だから考えたくないけども。うん。
「…あ。確かあのデパートって屋上あったよな？
デパートにも菜園用の土とか種とかも置いてるよな？」
「おお、まっつんナイスアイディア！
それなら野菜とか果物とかは自分達で作れるし、食料の心配無くなったね！」
「全部補えるって訳じゃねぇだろ。
育てて次の日にポンと出来上がる訳でもないんだしよ。」
「デパートなら何かしら美味しいもの大量に置いてあるでしょ、店頭にも在庫しまっとく倉庫にでも！」
「………俺らじゃ手が出せなかった食い物にも手出せるチャンスか！いいなそれ！」
有難い事に、及川さんとロッカー組のお二人はどうやらデパートに行く気になってきたらしい。
松川さんに関しては私も思い付かなかったメリットを考えてくれた。
思いの外この状況は私の意のままに動いている。
計画通り、なんて笑ってやりたいところだがそれをやると多分フラグ回収とかしちゃうんだろうからやめておいた。
「ね、岩ちゃん。この条件ならどう？
俺ら今日だけでもゾンビかなりの数倒したよね？今日行こう！ってザンカちゃん言ってる訳じゃないんだし、俺らはいいと思うんだけど…」
「……………」
「勿論、すぐにとは言いませんよ。
食料もある程度残ってますし、それが尽きるまでに私が皆さんに戦い方とか稽古付けます。
…それでも嫌だと言うなら、一緒に別の術考えますけども。」
無言のまま俯いた岩泉さんに果たして私達の言葉が響いたのかは分からない。
きっと、私が思っている以上にこの人は重苦しいものを抱えているんだろう。
そんな彼に響く言葉、魅力的な言葉を掛けられたかどうかは正直私にも分からない。
でも、彼の前髪の隙間からこちらを覗く目は、確実に生き抜くと決意した目をしていた。
「………分かった。お前に判断は任せる。
ただその代わり稽古頼むぞ、ザンカ。」
「…そう言って頂けるなら光栄です。
勿論ビシバシ稽古はさせて頂きますよ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Guilty | 作成日時：2019年5月28日 2時
