自然の罠 ページ31
「…1階は出入り口ありますし、逃げようとした人間とグラウンドから入ってきたゾンビが溜まって自然に罠的な感じでこの状況が出来上がった…って推測出来ますなこれは。」
こちらへと登って来ようと必死になっているゾンビを見下ろしながら私はそう2人にカッコつけながら言ってみた。
カッコつけるのは慣れていない為、なんか飄々とし過ぎたというか、キザにすましすぎたというかだが。
「自然の罠…まあ確かにそうかも…
けどこれどうすんの！？これじゃ俺ら降りられないじゃん！」
「…最悪、俺らなら2階から飛び降りるとかなら助かるんじゃ………」
だが2人は私の精一杯のキメ顔には構わずゾンビを見下ろしながらオロオロと慌てふためいている。
無視されるのはここ最近のいじめのお陰で慣れてはいるが傷付くぞこんにゃろ。
「ざ、ザンカちゃん…！どうしよう、これじゃあ制圧なんて出来ないよね！？」
「ん〜…と、とりあえず騒ぐのやめましょうか、じゃないと………」
「グガオォヴゥゥ…！」
「ヒギャァァァ！ザンカちゃぁぁぁ…！」
「………私騒ぐとゾンビはそれに反応するってどっかで説明したはず…」
静かにして貰えないと何かしら作戦伝えるにも伝えられないだろうに。
黙らせようとすればする程及川さんは私の名前を連呼しながら騒ぐ、岩泉さんも無言ではあるが慌ててジタバタし始める、私はそれを抑えようとするも2人の行動が読めず若干苛つく。
シリアスな状況のはずなのになんかまたシュールになっちまったぞ。
「えっと…とりあえず私を盾にしてジリジリ前に追いやるのやめましょうね及川さん…！
私仮にも女子ですよ本来は貴方が守るべき存在ですよ…！」
「そ、そんな事言われても…！
うわぁぁぁほらアイツこっちに来ようとしてるよもう近いって！」
「あぁもう鬱陶しいななんだこのひっつき虫…！」
シュールな光景を脱出しようと試みるも、及川さんという私を盾にしようとするひっつき虫が離れてくれず。
岩泉さんに助けを求めようとするも何を思ったのか階段を登って来てしまったゾンビをツンツンして階段から落とすのに夢中。
もうなんだこの光景。
どうすりゃ上手く脱出出来るんだ。
ゾンビを前にして騒ぐのは危ない、とは分かっているけれども。
それでも、これからも生きる為なら今は叫ぶしかない。
この状況に妙に笑いそうになりながら、更に少し苛立ちを声に込めながら。
「策が無いとは一言も言ってねぇよ！
分かったから落ち着けや馬鹿2人組ッ！」
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作者名：Guilty | 作成日時：2019年5月28日 2時
