【ハイキュー】それでも、この世界で ―1― (ページ25)

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生きる為ならページ25

「え、ちょ、本気ですか？大丈夫ですか？オツムの方大丈夫ですか？
あ、2人共さっきの光景見たお陰で頭のネジ飛んじゃったりしちゃって…」

思わずマシンガンばりの勢いでズダダダダッ、と脳内の本音がダダ漏れになる。

そんな私を見て及川さんはなんか吹き出してるわ岩泉さんも真顔で『別に飛んでねぇよ』と返されるわなんか急に雰囲気が軽くなってしまった。

「今も涙出てるの自分で分かんない？
ザンカちゃんホントはしたくなかったんでしょ、あんな事。」

及川さんにそう言われ頬に手を添えてみると確かに湿っている。
何故かまだダラダラと涙が溢れていたらしい。

果たして及川さんの言う通り元クラスメイトを見殺しになんてしたくない、と思っていたのかどうかは私には分からんが。
元々多少なりとも恨んでいた存在な訳だし。

「あと…ザンカの持ってるスキルは今現在この世界で生きていく上で必要だろ。俺らにはない知識を山程持ってる。
俺らでは分からない事でもザンカになら任せられる気がするというか…」

「…あれは別にゲームやってる内に身につけた最低限の………」

「そのサバイバルスキルがこの世界で生きていく上で何より必要だって言ってんだよ。」

…つまりこの2人は私の事をそこまで悪人ではない、そして共に過ごせば生きていける確率が上がると考えているんだろう。
クラスメイトを救う手立てが無いとはいえ目の前で見殺しにしたのに、だ。

「………優しいんだか馬鹿なんだかアホなんだか…
私と組むだけ組んで『お前と組むんじゃなかった！』とか言われても私知りませんからね…」

「そんなの及川さんは言いません！
俺らはそんな後悔なんてしないし！」

「…今のでフラグが建築されちゃいましたよどうしてくれるんですかこれ暫くしたらまたあんな残酷な光景を見る事に………！？」

思わぬ所で建築されたフラグに頭を抱えるが、すかさず岩泉さんに『そうならねぇようにお前が必要だっつってんだよ』と言われああそれもそうかと一瞬で立ち直る。

ゲームでの無慈悲なストーリーなんかで鍛えられたお陰で立ち直るペースだけはやたらと早いのだ。
何故か溢れていた涙ももう、私の視界を邪魔しなくなっていた。

と、いう訳でだ。

「…よし。そんじゃとりあえず感染経路はある程度絞れましたね。」

元クラスメイト達の朽ち果てた死体を見下ろしながら、私はボソリと真面目に呟いてみた。