記念すべき初作戦 ページ19
「それじゃあ…行きますよっと!」
一度バリケードを壊し、まだゾンビ達の血が滴る廊下へと私達は一歩踏み出した。
ゾンビの死体が先程の戦闘でゴロゴロ転がってしまった中を進む為、全員物凄くへっぴり腰でだが。
「…なかなか…強烈な臭いだな。」
岩泉さんはそれだけ吐き出し、鼻を摘んでしかめっ面で歩き出した。
及川さんも釣られて鼻を摘み、出来るだけ汚れていない床を爪先立ちになりながら進んでいく。
「まあゾンビそのものが肌腐ったりしてる訳ですし…
あと人間って他の動物と比べて色んなもの食うんで、その影響から死んだらとんでもなく強烈な臭い発するんですよ。
親戚のお葬式の火葬場とかで思いませんでした?臭うって。あれと同じですよ。」
例え死んでいたとしても下手にゾンビに触れれば感染、そしてゾンビ化してもおかしくはない。
だからへっぴり腰で進むのは仕方ないんだうん。
それを感じさせない為にも豆知識を語ってみたものの恐らくどう足掻いても今のこの光景客観的に見たら妙に面白くなっちゃうんだろうな。悲しい。
あと何気に二人共私の豆知識に返事も反応もくれず。ザンカちゃん寂しいぞこんにゃろ。
…なんて、思っていたその時だった。
「ヴゴオォォォッ…!」
「ひぎゃあぁぁぁぁぁッ!?」
ゾンビの声と及川さんの悲鳴が校内に響きに響いた。
慌てて及川さんの方を見てみると、及川さんの足元を狙って這いずる1体のゾンビ。
「馬鹿うるせぇ…!他のゾンビにも反応されたらどうすんだ…!」
と、咄嗟に岩泉さんが持っていたさすまたでゾンビを抑え込み、なんとか及川さんは感染せず逃げ切れた。
「ナイスです岩泉さん、あとは私が…ッ!」
「グゥゴオォッ!?」
それを利用して私はゾンビに薬品をぶっかけた。
薬液はジュワッ、と音を立ててゾンビの肌に染み込んでいく。
それが痛いらしくゾンビはバタバタと藻掻き、そして力尽きていった。
「………こ、こんなとこにもいたとか…」
それと同時に、及川さんもへにゃりと床に座り込んでしまった。
まあ確かに気持ちは分からないでもない。
ただ歩いていただけなのに死の危険に襲われる、なんて状況で平気でいられる人間なかなかいない。
…あ、そうだ私がいたわ。
「でもこれで油断は出来ない、って痛い程分かったんじゃないですか?
ほら立ってくださいよ及川さん、これからまたこんな状況に陥るかもですし…」
と、いつもの如く私が頭の中で冗談を抜かしつつ彼に手を差し伸べた時だった。
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作者名:Guilty | 作成日時:2019年5月28日 2時