正しい答えはここにない ページ18
脱力感がずっしりと肩にのしかかってくるのがよく分かる。
このまま動かなくなればどれ程楽だろう。
このまま前に進まず、現実逃避をして戦わなければどれだけ楽だろう。
そんな感情がひしひしと及川さんと岩泉さんから伝わってくる。
…だが、それでも。
「………もし、アイツらがあんな姿になっていたとしても。
俺は素直に受け入れる。」
「…そう、だね。大切な人達があんな姿になってたとしても…俺らが生きていれば………」
私の期待通り、彼らはそれでも尚前を見据えた。
「例えどれだけ残酷な光景を目の当たりにしたとしても、それでも前に進めば息絶えた人間を弔う事は出来る。
その為に、私を利用する覚悟あります？」
「…今、決めた。俺らは君と組むよ、残華ちゃん。」
「折角組むんですしザンカとかザンカちゃんでいいですよ、今の言い方堅苦しかったんで嫌です。」
「…じゃあザンカちゃん。宜しくね。」
まだ、絶望を拭えた訳じゃない。
まだ、終わらない。これだけで終わる訳にいかない。
まだ、進むと決めたこの選択が正しいかどうかなんて分からない。
否、正しい答えなんて今私達がいる世界に存在しないのだろう。
でも、出来る限り正しいと思える選択をする事は出来る。
一人でこの世界を突き進んでやろうとは思っていたものの、この二人が仲間になってくれるのなら私もいい答えを見つけられそうだ。
そして何より、今のこの光景はゲームで見てこんな状況に置かれてみたいと恋い焦がれた胸アツ展開。
まるで今の私はゲームの主人公だ最高かよ。
………勿論、この本音は口には出さず顔にも出さなかったぞ？
頑張ったんだぞ誰か褒めろ。
「…なら、早速ですけど。
校内でまだ彷徨いてるゾンビもいるでしょうし、もしかしたら隠れてる生存者とかいるかもしれないんでその辺調査しながら私と歩けます？」
「…やっぱ連れて行かれるんだね………」
「だってまだ休憩してる暇ないですよ、ゾンビはゾンビでもなんか強い変異種みたいなのがここ襲ってきたらどうするんですか私一人外に行ってる時にでも襲われたら二人だけで戦えます？」
「着いていきますお願い置いて行かないでっ！」
そしてなんとか説得成功、校内を3人で探索、そして制圧を行う事になった。
またあんな風に襲われたら、という恐怖と緊張と、まだまだゾンビに試したい薬品を使えるかもというゾクゾクワクワク感。
そんな感覚を背中に這わせながら、私は作戦行動開始を二人に告げた。
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作者名：Guilty | 作成日時：2019年5月28日 2時
