旧・黒髪とサファイア III (ページ34)

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ハーマイオニーが入院しだしてから数週間が経った。勉強大好きの彼女が授業に出ないせいで、みんなはまた犠牲者が出たのだと思っていた。あたしたちはほとんど毎日お見舞いに行った。たまに今日のようなお菓子の注文が殺到する日が出ると、レイが部屋から出なくなるのでハリー、ロン、あたしの３人で宿題を届けに通った。

「＿＿それでさ、レイがずっと＂例の飴玉＂の名前に悩んでるんだよね。」

「えー、それはもう＂カラーキャンディー＂でいいんじゃないのかしら？」

「僕もそう言ったんだけど、＂しっくりこない＂って。」

「長蝶クッキーはどうやって名付けたのかしら？」

「＂蝶々＂と賞味期限がすごーく長いところからだよ。」

「レイはあの鬼のような量の課題を終わらしてるのに、一体何に悩んでるんだ、って感じだよな？」

「ロン、それは自業自得だわ。」

顔の毛もすっかりなくなって、ハーマイオニーは明るい調子を取り戻していた。

「それ、なぁに？」

突然、ハリーが枕を指差した。下から金色の何かがはみ出している。

「タダのお見舞いカード＿＿あ。」

ハーマイオニーより早く、ロンが素早く引っ張り出して読み上げた。

ミス・グレンジャーへ、早く良くなるようお祈りしています。
貴方の事を心配しているギルデロイ・ロックハート教授より

「君、こんなもの枕の下に入れてるのかい？」

ロンの呆れた声の続きは、夜の薬を持ってきたマダム・ポンフリーに遮られて終わった。

「ロックハートっておべんちゃらな最低のやつ！だよな？」

帰り道、ロンがあたし達に言った。
二階の廊下を通っていると、何やら上から大声が聞こえた。フィルチがモップをかけるとかなんとか怒っている。
３人で息を殺しながら上の会に向かうと、フィルチは去った後で＿＿ミセス・ノリスのあの現場を見張っていたようだ＿＿怒れる声の代わりに水がその場を満たしていた。
＂嘆きのマートルのトイレ＂から啜り泣く声が聞こえていた。

「マートルに何があったんだろう？」

と、ロン。

「行ってみよう。」

ハリーがドアノブに手を掛けた。あたしはふと＿＿なんでこんな時にかはわからないけれど＿＿ここが女子トイレだと思い出して笑いだしそうになった。