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『おい、起きろブス、もう帰んぞ。』
体を揺さぶられ、私はやっと目を覚ます。
「ん...二口..?」
ぼやける視界に見えたのは、整った、二口堅治の顔。
『ほら、どんだけ寝てんだよ、起きろ、帰んぞ』
二口堅治に腕を引っ張られ、私は起き上がる。
「んんー。二口ぃー。」
ハッキリとしない頭が、起きることを拒否する。
「んん....」
私は、二口堅治を引きかえす。
『うおっ。』
閉じていた瞼が、赤い色から、黒くなる。
「...え?」
『...おい』
驚いて目を開けると、目の前にあったのは、やはり二口堅治の顔。
しかも、さっきよりも近い距離で。
『お前さ...』
「あ、ご、ご、ごめんなさ...」
や っ て し ま っ た 。
眉間に深いシワを作り、少し笑った口元は、二口堅治のいかりを表す。
二口堅治が、勢いよく頭を下ろす。
「ひゃっ...え?」
頭突きされると思って、目をぎゅっと瞑った。
すると、肩に、温もりを感じた。
「ふたくち?」
『お前さ、少しは警戒しろ?ここ、男ばっかだぞ?』
いつの間にか私の手は、二口堅治によって壁に押さえつけられる。
『こういうことされても、抵抗できないだろ』
「え、や、二口..」
真面目な顔をした二口堅治。
まるで、試合の時に見せる顔のようで。
私は少し、ドキドキした。
「え?え?二口?もしかして、私を襲う気なの?そうなの?」
『はっ。ドキドキしてんじゃねーよブスが。』
私のドキドキを返してください二口堅治。
いつものような顔で、私のおでこにデコピンをかます。
『おら、はやくたて。暗くなる』
今度こそ、二口堅治が差し出した手を握って、立ち上がる。
「ふ、ふふ。」
『何笑ってんだよ、きも』
「んーん。」
好きだよ
大好きだよ
今すぐ伝えたいけど、この一瞬も、幸せだなって思って、
私は言葉を飲み込んだ。
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匿名 - ぁ……あぁああ……あ…………しゅき…………青春してやがる……末永く幸せになりやがれ…… (2019年1月6日 12時) (レス) id: 63c38f32d4 (このIDを非表示/違反報告)
すず - 本当に面白かったです!鎌先さあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!! (2018年8月15日 8時) (レス) id: 7cb4aff4ff (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございますすすすすすすす!こんな小説を読むために生きていたのですか...本当に、嬉しいです。 (2017年10月24日 23時) (レス) id: 6760a7cf82 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ - あぁ、私はこの小説を見るために生きて来たんだなぁ。と、凄く思いました。素晴らしい小説をありがとうございましたあぁぁぁぁぁぁ!! (2017年10月24日 23時) (レス) id: 241a2bf209 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 鈴姫さん» ありがとうございます!!ほんとに、そのような言葉を頂けるだけで感謝しかないです(・_・、) (2017年10月24日 22時) (レス) id: 6760a7cf82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆゆ | 作成日時:2017年8月25日 20時