限界OLの私がラウールくんに懐かれた。

18 ページ18

渡辺side








.











あれから1週間、ラウールはマンション付近を通るたびに

きょろきょろして''Aさん''を探してる。



たまたま運良くあってたけど、

ここのところは出くわさないみたいだ。








...ラウールのこの興味が、

ただの人懐っこさから来てんのか

その、恋愛としての意味なのか


まだイマイチわかんねぇけど。














.












人との接触をなるべく避けてきたラウールにとっては、

こういう関わりって新鮮だと思うから。


邪魔したいわけじゃないけど、

ラウールのことを心配に思うこともあって。




　

...けど、 大人が守らないと って彼女の言葉に

信用していい人なんじゃないかな、って

俺も思わされてしまっていた。











.












ラウールと2人で、土曜日の昼過ぎに撮影を終わって

マンションへと帰ると、



Aさんの部屋が空いていて

見知らぬ男の人がドアの付近にたってた。










.










それに咄嗟に気づき、

ついラウールと2人黙って目を合わせる。







「 え、あそこAさんの部屋だよね？ 」

「 そーだけど、」









俺らはゆっくり鍵を探すそぶりをして、

咄嗟に様子を伺ってた。


自室の前まで行くと、声も聞こえてくる。










.











「 ごめんね。俺が出てく形になって 」

『 しょーがないよ。荷物全部持った？ 』

「 うん。...Aこのままここに住むの？ 」

『 流石に広いし、落ち着いたら引っ越すよ 』

「 そっか。」










会話のやり取りから、

同棲解消した元カレなんだと察した。



修羅場かよ










.












俺は部屋の鍵を差し込むと、

元カレがエレベーターの方に向かってくるので

顔を横目でチラッと見る。





...まぁまぁ男前じゃん。


つか、泣いてる？なんで泣いてんの

お前がフッたんだろ？









.










「 ちょ、翔太くんいい加減中入ろ 」


俺が棒立ちになっていたら、ラウールに急かされた。











.












『 あ、お疲れ様です 』





すると、Aさんは廊下でボソボソ喋ってる

俺らに気づいたのか、

ドアから顔を出して声をかけてきた。









.










「 あ、Aさん！ お疲れ様！ 」


咄嗟に、よそよそしく挨拶するラウールに

ふはっと笑いながら『 聞こえてた？ 』と。





ラウールも、素直に頷く。








『 あ、ちょっと待ってて！ 』












.

19→←17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す