(仮) forth (ページ24)

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給湯室へと逃れる事に成功した私。意図した訳ではないだろうけど、これも大野さんのおかげって事で、いつも以上に丹念にコーヒーを淹れる。

朝から疲れた……

疲れからか安心からかは分からないけど、大きなため息が出た。

「すげぇため息(笑)」

「え？」

誰もいないと思っていたのに、急に背後から話し掛けられて、咄嗟に振り向く。

「何？悩みでもあんの？」

「松本さん…あ、おはようございます」

「うん、はよ。で？」

「で？あ、悩み？いえ、そーいう訳じゃ…」

「そ？じゃいいけど。あ、俺の分もある？」

クイッて顎でコーヒードリッパーを指す松本さん。そんな姿も絵になる。

「ありますよ。今日、早くないですか？」

いつも始業ギリギリなのに。しかも、いつも朝は機嫌悪そうなのに。今日はニコニコと可愛らしい笑みを浮かべている。

「ん、まぁ…俺、今日ほとんど外回りで、多分帰りも直帰だからさ」

「はい…？」

それでなんで早く出勤するんだろう？しかもご機嫌に…

「だからさ、翔さんと話せるの朝だけなんだよね」

「…そうなんですね」

松本さんも先輩と仲良いんだ…。苦手な朝に頑張って早く来ちゃうくらい……

「どした？」

「え？あ、いえ。何でもないです。コーヒー持っていくので、先に戻っててください」