(仮) ～サイド～ (ページ8)

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８～A.M ページ8

いつからか俺とAちゃんの休憩はコーヒーを飲みながら、おしゃべりをする時間になった。

声を出して笑う事は無いものの、Aちゃん自身も気付いてないくらいに小さく微笑んでくれる回数も増えてきて、表情も少し豊かになったと思う。

そんなある日、バイト先に駆け込むように入ってきたAちゃんの顔が、見た事ないくらいに強ばっていて、顔色も悪くて…

すぐに何かあったって分かった。でも、バイト中で聞けなくて…着替えてホールに出てきたAちゃんはいつもの笑顔を張り付けていた。

休憩になったから、Aちゃん専用のコーヒーを淹れてバックルームに持って行くと、椅子の上で小さくうずくまるAちゃんがいた。

「Aちゃん」

俺の声に反応した彼女がゆっくりと顔を上げる。

「どーしたの？」

彼女の目は儚げに、心許なく揺れていた。

「俺じゃ頼りない？でもね、俺、Aちゃんの味方のつもりだよ」

Aちゃんの目から透明な涙がすぅって、静かに頬を伝うのを見て気付いた。

Aちゃんの涙、初めて見たなって。

もしかしたら、この子は笑う事だけじゃなくて、泣く事も出来なくなってるんじゃないかって。

「俺に話してみない？何も出来ないかもだけど…Aちゃんの涙拭いてあげるくらいは出来るよ。隣にいることだけは出来るから」