(仮) ～サイド～ (ページ23)

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２３～A.M ページ23

「まぁ君、私ね…人が怖いんだよ」

そう話し始めた彼女。

「今ここに居る人達はあの人達とは違うって分かっているはずなのに、また同じ目に合うんじゃないかって…この人達も何かをきっかけに豹変するんじゃないかって…」

困ったような悲しそうな顔で笑うAちゃんに胸が締め付けられる。

心を開いた相手に裏切られ、傷付けられる事がどんなに辛い事かを知っている彼女。

２年近くの間、何度も何度も繰り返し傷付けられた彼女の心の傷が、学校が変わったくらいで治るはずなかったんだ…。

苦しんで、泣く彼女を何度も見てたはずなのに…彼女の心が壊れそうになっていることを知っていたはずなのに…。

能天気で浅はかな考えしか持てなかった自分を殴ってやりたい。

「どーしようって戸惑ったよ。いくら大丈夫だって言い聞かせてもダメで…自分の意思だけじゃ恐怖に勝てなくて…でも、いつまでもオドオドしてたらまた標的にされるって思って…だから…」

だから彼女はもう1人の自分を作る事で、自分を守ろうとしたんだ。

恐怖に怯える自分を奥底に隠して、壁を作る事で彼女が直接的に攻撃されないように。傷付いても最小限で済むように。

俺がバイトを始めたばかりのAちゃんに教えた『理想のキャラを演じろ、女優になれ』

頭の良い彼女は、それをリアルの生活にも応用したんだ。