(仮) ～サイド～ (ページ22)

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２２～A.M ページ22

大学での彼女を見て愕然とした。

人形みたい…

ニコニコと笑顔を張り付けた彼女は、色んな人に声を掛けられていたけど、ずっと表情が変わらない。

誰に声を掛けられても一緒。

声のトーンもテンションも口調も…笑顔も…

あんなに優しい顔して笑う彼女がどこにもいない。

こんなのAちゃんじゃない

なんで？どーして？って混乱した。

帰り道、二人で並んで歩きながらも、頭の中は疑問だらけで…

「まぁ君には見られたくなかったな…」

困ったように笑うAちゃんに、いつもの彼女が見えてホッとした。

「あんな感じなの？いつも…」

「……」

「なんでって聞いてもいい？」

ちょっと間を空けて、小さく頷いた彼女。でも、なかなか言葉が出てこない。なんて説明しようか考えているみたい。

「ちょっと座ろっか」

ちょうど通り掛かった公園のベンチを指差す。

彼女を先に座らせて、ミルクティーとコーヒーを買って戻る。

彼女にミルクティーを渡して、隣に腰を下ろすと、彼女がクスクスと笑った。

「ん？」って首を傾げる俺に、「懐かしいなって思って」って、笑うAちゃん。

「前も公園のベンチだったよね。その時もミルクティー買ってくれた。…いじめの事、打ち明けた時…」

「あぁ、そうだったね」

あの時はバイト先近くのちっちゃな公園だった。あれからもうすぐ２年が経とうとしている。