(仮) ～サイド～ (ページ20)

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２０～A.M ページ20

彼女は仕事で忙しいお母さんに代わって、ある程度の家事をやっていたようで、俺よりも断然上手に一人暮らしの生活をこなしていた。

彼女の家から徒歩圏内になった俺の家に来てくれて、家事に悪戦苦闘する俺の手伝いもしてくれている。

そんな生活にも慣れ始めた5月の中頃、引っ越しを機に辞めた喫茶店のマスターから、俺の学校の近くで知り合いがカフェをやってるから、そこでバイトしないか？って話をもらって、一つ返事で引き受けた。

Aちゃんも新しい生活に慣れ始めて、大学の子達と買い物とかご飯に行くようになってたから、四六時中付いてなくても大丈夫だって思ったから。

友達ができたんだって嬉しかった。もういじめから解放されて、楽しい大学生活を送っているんだって安心していた。

でもしばらくして、なんかおかしいなって違和感を感じ出した。

Aちゃんと話していても、彼女の口から友達の名前が出てこない。『ご飯に行く』っていう報告はあっても、楽しかったっていう話は無い。

「誰と行くの？」って聞いても「大学の人」って言うだけ…

Aちゃんは友達の名前どころか、『友達』っていうワードすら使っていない事に気付いた。

だから思いきって聞いてみたんだ。「大学楽しい？」って。