(仮) ～サイド～ (ページ12)

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１２～A.M ページ12

彼女の心を一番抉ったのは、いじめそのものよりも、親友の裏切り。

「信じられなかった…受け入れられなかった…彼女じゃないって、何度も、何度も思おうとしたけど…」

受け入れたくない現実に彼女は苦しんでいた。もちろん、いじめ自体にも傷付いているけど、それをしている主犯が親友だということが、さらに彼女を追い詰め、傷を深くしていた。

「逃げたいって、何度も思ったんです。思ったけど…」

逃げられない理由は彼女の家庭の事情だった。彼女の家族はお母さんだけ。お父さんは早くに亡くしたそうだ。

「私、習い事とか買い物とか普通にさせてもらってたんです。他の子と変わらないくらい。片親だからって我慢させたくないってお母さんが頑張ってくれてて…」

今の私立の学校もAちゃんの将来のためにって、お母さんが勧めてくれたらしい。私立に通わせながら、大学の費用も貯めてくれてるそうだ。

「お母さんが私のためにって、必死になって頑張ってくれてるのに…辞めたいなんて言えない。そんな事思っちゃいけないんです」

親の愛情を知ってるから、その苦労をちゃんと理解してるからこそ言えないというジレンマ。

「だから私、お母さんに嘘…ついてるんです」

「学校はどう？」って聞いてくるお母さんに、自分は蚊帳の外で見ていた学校の様子を、クラスメイトたちの会話をあたかもそこに居たかの様に話すんだって…