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020:人生とは借りを返すこと ページ21






「Aちゃん、化粧品ごっつ増えたなあ」



そう言いながら、私の部屋で、私の漫画を自分のもの如く読み進めるのは治くんだ。

この立ち位置に、既視感があるのは私だけじゃないはず。






ずっとずっと考えていて、治くんはずっとずっと待ていてくれた。

先延ばしにしてうやむやにするのは、失礼極まりない。



「治くん、ちょっといい?」


声が、震えるのが分かる。

そんな私の声を聴いて、治くんが振り向く。




渦巻く色をこもらせたような、無に近く遠いその表情を見て、私は初めて彼を綺麗だと思った。



「ずっと、待っててくれた。ありがとう。

でも、本当にごめんなさい。治くんには答えられない」





もう一度、口を開こうとした瞬間、


「知ってたんよ」


治くんが、ゆっくりと口を開いた。




「Aちゃんは優しいから、でも、好きじゃない男と付き合うような適当なオンナじゃないから、知ってた」



彼に、泣きそうになる。


どうして、そんなにやさしい顔でわらうの。

どうして、そんなにやさしい声でいうの。





だいすきなんだよ、そう言っても、彼に答える好きじゃないことくらい、彼の心を痛めようとしてしまうことくらい、彼も私も容易に分かった。


言えないもどかしさといわれぬ感情の中、涙が溢れ出る。





普通泣くの俺のほうやん、とか、治くんはそんなことを言わない。
なぜって、きっと彼は、最後までかっこいいままでいたいから。





やさしく抱きすくめられる。
彼を拒まなかったのは、これが最後だと分かっていたから。
幼い頃も、いつの日も、今も、変わらずあたたかいことを私は知っている。




いつまでも続く抱擁に、また涙が流れた。

その気配を感じた治くんが、ぎゅっと強く抱きしめる。




「A、どこの道に進んだらええんか分からんくなった時は、

 どこかにたどり着くまで突き進めばええんやで?」




軽い口調で、私の耳元に囁くと治くんはそっと去っていく。





「ツムー!人員交代やー」


お母さんの相手をしていた侑くんに、そう声をかけた治くん。








部屋に入ってきた彼もまた、泣き続ける私をずっと待っていてくれた。

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パルム(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます!確かにそうだな、と考えなおしました。北さんに二度目の好きを洩らした後のヒロインと北さんの展開はご想像していただけると幸いです。これからもっとその人物に寄りそう素敵な小説が書けるように努めさせていただきます。 (2021年8月9日 19時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
- んー、2回もヒロインに告白させるのは北さんぽくないなぁ、、、せめて2回目は北さんからの方が綺麗なお話になっただろうに少し残念です。 (2021年8月9日 9時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
パルム(プロフ) - 、さん» 教えてくださってありがとうございます!私自身もともと機械などに疎いのですが、うらつくが好きなので投稿させてもらっている次第でした。自分なりに調べてみて、今は外したことになっています。正直すごく不安なので、教えてくださると幸いです。 (2020年8月16日 6時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パルム | 作成日時:2020年8月16日 0時

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