014:素直になろう ページ15
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「ふーん、治も伝えたんだ」
先輩にぜんぶ見抜かれ、ぜんぶ促され、ぜんぶ話してしまった私。私の秘密を洗いあざらい知ったすチベットスナギツnもといチベくん(承認済み)は、顎にそっと手を添えて考え込んだ。
角名先輩が動くたびに、さっぱりとしたフローラルの香りがして、心臓が強く打っているがわかる。
私もいい香りのシャンプーに変えたいな、なんて。髪から柔い香りが漂うのって素敵だ。
「ねえ、Aちゃん的に、治はアリなの?」
角名先輩に、思い立ったように声をかけられた。
考えていたことがかんがえていたことだけに、思わず私は声を上げる。
「オタマジャクシ!?」
そんな声を上げた私に、角名先輩は呆れた顔をしながら小さく突っ込む。
「めいちゃんかよ…」
双子のツッコミだけでも渋滞してんのに…、頭を抱えながらそう言う角名先輩に、ごめんね?と恐る恐る言うと軽く睨まれた。「尾白さん召喚したい…」
尾白キツネかな?同類だねっ(())
「ねえAちゃんがいくら北さんを好きでもさ、治も付き合ってみたら、っていうかいいやつだと思うけど?」
私の顔を覗きこむ角名先輩の表情は楽し気に輝いていて、不覚にも魅力的だった。
こういう時こそチベスナ発揮しないでいつ発揮するんだよっ!!
「…治くんが、いい人っていうことはわかってて。でも、いい人で、仲がいい大好きないとこだから。今は、ほんとに、いい人ってしか、それしか考えられないんです。」
おずおずとそういうと、角名先輩はほうっと、溜息と一緒に何かの感情を洩らした。
膝の上に握りしめたこぶしの、整えたつめに視線を落としていると、
視界に突然、ながいながい指。
驚いて顔を上げると、角名先輩のしたり顔。
「Aちゃん、今は、ってことは、俺が押して押して押したら、落ちてくれるの?」
きれいなその指に、頬をつかまれていることに気づき、体温が一気に上がる。
私の反応を見てか、角名先輩は満足そうにわらった。
もう一度、ドアが軽快な音を立てて、目的地に着いたことを知らせる。
角名先輩が席を立ち、私たちがバスを降りようとしたとき。
先輩がこちらを振り向いて。
「そうそうAちゃん。
かわいくなりたいってがんばってる人はかわいい、って。
男はだいたいみんなしってるよ。
この意味わかるでしょ?」
___いつだって、彼が浮かべるのは苦そうで蕩けそうな笑み。
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パルム(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます!確かにそうだな、と考えなおしました。北さんに二度目の好きを洩らした後のヒロインと北さんの展開はご想像していただけると幸いです。これからもっとその人物に寄りそう素敵な小説が書けるように努めさせていただきます。 (2021年8月9日 19時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
ら - んー、2回もヒロインに告白させるのは北さんぽくないなぁ、、、せめて2回目は北さんからの方が綺麗なお話になっただろうに少し残念です。 (2021年8月9日 9時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
パルム(プロフ) - 、さん» 教えてくださってありがとうございます!私自身もともと機械などに疎いのですが、うらつくが好きなので投稿させてもらっている次第でした。自分なりに調べてみて、今は外したことになっています。正直すごく不安なので、教えてくださると幸いです。 (2020年8月16日 6時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パルム | 作成日時:2020年8月16日 0時