だから私はあなたに花を渡す ページ9
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「貴大くん」
「なに?」
大切にしてくれてありがとう。
別れてからもう一年も経ったね。あなたはもう私のことを好きじゃないだろうし、沢山困らせたからもう嫌いかもしれない。
それでも私は、あなたの人生の中にいた1人でいたい。私と過ごした日々をいつか振り返ってくれたときに、楽しかったなって思い出してほしい。
できれば、いつか一緒にご飯に行ったりして、あんなこともあったよね、若かったよねって笑い合っていたい。
あなたは今から新しい道に進むし、新しい色んな人に出会うと思う。そのときに新しい恋人が出来るかもしれない。多分、私にしてくれたよりもっと優しい手で、その彼女の頭をそっと撫でるんだと思う。
それはすごく寂しいけど、私がそんなこと思っちゃだめだよね。
せっかくの門出の日に、私の涙で思い出を曇らせたり、今でも忘れられないの、なんて言葉で水を差しちゃいけない。だからせめて、
「貴大くん、今まで本当にありがとう」
あなたの行く先が私の贈る花束みたいに華やかで、今日の空のように晴れやかで、そこであなたが笑っていますように。本当に心の底からそう思う。
だから今、ずっと隠していた花束とメッセージカードをサプライズ!ってプレゼントさせてもらうから、私の好きなその笑顔で応えてね。
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作者名:パルム | 作成日時:2024年3月1日 22時