337:湯気 ページ22
ふわっと柔らかく何かぶつかる気がした
ﾆｯﾄ帽の網目の隙間からじゃ
真っ暗でよくわからないけど温かかった
優しい手に包まれて引き寄せられ
ｳﾆｮｸの手だ、と感じた
「…えっ」
頭部にあったはずのその優しい感触を
頬にも同時に感じて
不思議に思い小さく声をあげた
直後、それが更に唇に近付いたから
戸惑いは倍増して
目を隠していた帽子をあげる
ｳﾆｮｸ「…え、あっ…いや」
「え？え？」
ｳﾆｮｸ「その…」
今にも湯気が出そうに真っ赤な彼を見て
何が起きたのかすぐ気づいて
聞くのを躊躇ってしまう
…唇が、頬に、触れてた。
「も、もう。真っ暗で何も見えないじゃないですか」
ｳﾆｮｸ「…へ」
「へ、変なことしてないですよねー？」
彼の様子を見て私は気まずくなるのを恐れ
誤魔化すことが厳しいけれど
何をされたのか”気づいていないふり”をする
あとは彼も笑って
何もしてないよ、と言うのを待てば
笑って手を振って帰れると
そんな風に思っていたのに。
ｳﾆｮｸ「……変なことはしてない、けど」
「…？」
ｳﾆｮｸ「その、だから…」
人差し指で頭を掻いて話し出す
違います、ｳﾆｮｸさん
言わなくていい、素直に話さなくていいのにと
ぎゅっと目を閉じて叫びたくなった
ｳﾆｮｸ「ほっぺに…ﾁｭｰした」
こんなときに限って
馬鹿正直に言ってしまうなんてと
自分の頬から湯気が出てくるのを感じた
どこに焦点を合わせたらいいか
止まらぬ瞬きが動揺を表している
”ﾁｭｰした”
知っています、気付いています
気付いてないふりをしようとしていたのに
さすがに聞こえないふりもできない
ｳﾆｮｸ「…A」
「はっ、はい」
ｳﾆｮｸ「そこで突っ立ってないで、帰ろうか」
「…は。はいっ、はい」
何事もなかったかのように
手を握りしめる彼は笑っていた
悪いことでも、変なことでもないからか
改めて触れるのも恥ずかしくて
私も黙って手を握り返す。
ｳﾆｮｸ「寒いね」
「そうですね」
ｳﾆｮｸ「…次、いつ会えるかなぁ」
ぽつりと期待がこもったように
予想もしない言葉を呟いた
反応も返答もできず
そのまま黙って歩き続ける以外に
受け止め方がわからなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 843人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とまと(プロフ) - はるなさん» ありがとうございます(^.^)♪まだ次の章へと続いていきますので、キュンキュンなままかはわかりませんが楽しんで下さると嬉しいです！ (2014年8月19日 0時) (
レス) id: 4f0dfed52e (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - とってもキュンキュンさせてもらってます！もうこの物語が大好きです；； これからも楽しみにしてます！ (2014年8月16日 18時) (レス) id: 74df575286 (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - りえさん» ありがとうございます^o^邪魔があるからウズウズ楽しい、っていうのもあるんですけどねｐｑぎゅはどう思ってるんでしょうね…(´･_･`) (2014年5月27日 23時) (レス) id: 4f0dfed52e (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - えしかさん» ありがとうございます^^この「早くくっついて！」ていう感じ…私も楽しいです。笑 コメントでやる気出る単純な人間なので、お陰様でがんばれてます♪またのぞいて下さい(･o･)♪ (2014年5月27日 23時) (レス) id: 4f0dfed52e (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - 星猫さん» 星猫さん！ありがとうございます(*^^*)そんなそんな…私こそいつも星猫さんの言葉でがんばれてましたよヽ(；▽；)ノまだ道のりは長いので、ついてきて下さいね♪ (2014年5月27日 23時) (レス) id: 4f0dfed52e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とまと
| 作者ホームページ：http://twitter.com/Its_U_hyuk
作成日時：2013年7月16日 11時
