Apricot Fizz

11話 ページ12

いつからそこにいたのか


というか今の言い方だとずっと外にいたのだろう


いい加減にしてよ…みたいな顔をしている


顔が良すぎるせいでその表情も可愛い












叶「お取り込み中のところごめんね？」


不「邪魔しないでよぉ」


『いい加減離れてくださいよ』


叶「あら、ふわっちが振られてる珍しい」


不「ぴえん」










ズルズルと長髪のお兄さんに引きずられ

やっと私は開放された








そして先程の不破さんと同じようにお辞儀をし








叶「こんにちは、僕の名前は叶です。僕らの正体は…もうわかってるみたいですね」










叶、と名乗ったその人は困ったように笑った












叶「僕はどちらかというとお掃除より情報収集がメインなので、そこのハレンチさんと一緒にしないでくださいね」


不「ひどくない？」


叶「いいから、ちゃんと仕事して」













はぁーいと間延びした返事をした不破さんを


叶さんがファイルでぶん殴り


悶絶している不破さんを横目に


ひとつ咳払いをして静かに話し始めた













叶「先程申し上げたように、僕の仕事は情報収集です」


『は、はい』


叶「そこにいる不破に頼まれて調べたのですが」













叶「あなたを襲った人物たちの素性がわかりました」












どくんっと

自分の心臓がはねた












『…誰なのか、聞いても？』


叶「本当に聞きますか？」


『えっ』


叶「聞いたら最後」











叶「あなたの命はこちらのものです」








感情のこもってない冷たい雰囲気

冷静沈着、という言葉が良く似合う












不「…かなかな」


叶「黙って」


『言ったでしょう』


叶「…」












『あなたたちの領域に入れて欲しいんです』










私にはもう、ここしかないのだから














叶「はぁ…わかりました」


『ありがとうございます』


叶「ただ、その、あまり良い話ではないのですが…」


不「ちょっ、かなかな待っ」















必死に止めようとする不破さんを無視して


叶さんが淡々と報告する










綺麗な声が、頭に反響する















叶「彼らは…望月財閥が秘密裏に結成した暗殺者の集団です」










叶「そしてそれを指揮するのが」













・













叶「望月財閥の社長……つまり、あなたのお父様です」


















私の頬を



冷たい何かが伝っていった

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