その瞳に映るのは 2

61話 ページ19

葛「もうこんな時間かー」


『あっという間の1日でしたね』


葛「帰んの？」


『そうですね、洗濯とかもありますし…』


葛「そっか」











口がもごもごとしている葛葉さん


もしかして、もしかして











寂しい…のか？














『寂しいんですか？』










ちょっとからかってやろうと思ったのに














葛「…寂しい、ｯｽ」


『んぇ…！』











明らかにしゅんとして耳が垂れているのが見える










か…かわいい












葛「Aは、寂しくないの」


『そ、そりゃまぁ…寂しいですけど』


葛「…」


『まだ今週始まったばかりですし明日以降もまたすぐに会えますよ』


葛「あー…それもそうだな」


『明日のご予定は？』


葛「珍しくオフだけど叶たちに呼ばれてる。Aも連れて来いって言われたんだけど」


『なんでぇ？(笑)』












叶さんたち、ということは


叶さんの他にもいるのだろうか














葛「まぁたぶん俺らがどうなったか聞きたいんだろうな。見てみろよこの着信」


『わっ…すごいことになってますね』















葛葉さんの携帯を覗くと


十数件ほどの着信履歴があってどれも先程かかってきたもののようだ


しっかりと「叶」という文字が表示されている















葛「…世話になったからな。ちょっとうるさいランチだとでも思っておけばいいよ」


『ふふ、そうですね』


葛「…」


『な、なんですか』


葛「いや？」


『あんまり見ないでくださいよ。恥ずかしいです』


葛「なんかこう…」














葛「可愛いな、と、思って……」













耳の後ろを掻きながら言う葛葉さん


この人本当に葛葉さん、なのか？















全身の血が沸騰していくようだ













『も、もう帰りますからね！！！！』


葛「照れてんの？」


『うるさい』


葛「おうおう生意気だねおねーさん」


『年下です！』


葛「ははっ、わかったって。心配だから駅まで俺に送られておけー？」













これ以上一緒にいたら甘すぎて死んでしまう


送りなんで結構です、とぎゃーぎゃー騒いだが


結局手を握られてしまえば大人しくなってしまう












葛葉さんの体温を手に感じながら









明日みなさんにどんな顔をして会えばいいのかと



百面相している私を見て



横で笑っている葛葉さんに私は気づかないのだった

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