あなたの声に溺れて 3

98話 ページ7

次の日






急いでマネージャーや仕事先、ダンススクールなどに連絡をして回った


幸い、えにからに連絡を貰っていた両親が色々なところに説明をしてくれたおかげで


無断欠勤という扱いにならなくて済んだ


本当、いくつになっても両親には頭が上がらない















母「本当はお父さんも来たがってたんだけどねぇ」


『いいよ、忙しいんでしょ？』


母「あの人イエスマンだから断れないのよ」


『ふふ、お人好しだねぇ』














母が横でりんごを剥きながら他愛もない話をしていた


私は実家が大好きなのでしょっちゅう帰っていたんだけれど


急に連絡がつかなくなって心配していたところに会社から連絡が来たそうだ


心底肝を冷やしたと先程まで号泣していた














そんな優しい母と父は

私が眠っている間も何度も来てくれたようだ














母「あー、そういえば！」














突然母が大きな声を上げるので


びっくりして振り返る















『ど、どうしたの？』


母「あんたいつの間にあんなかっこいい彼氏出来たのよ！！！お母さん聞いてないわよ！？」
















……へ？















『か、れし……？』


母「お友達も美男美女ばっかりでお母さんもお父さんもほんとびっくりしたんだからぁ！」


『ちょっと！！！！！！』


母「何よぉ〜」


『彼氏って何！？誰！？そんな人いないんだけど』


母「え〜？？？」
















母「叶くんよ！叶くん！イケメンすぎてお母さん照れちゃったわ〜」
















これは



完全に勘違いをしている














『あのねぇお母さん。叶さんは私がVTuberをしている会社の大先輩なの！そんなんじゃないから…』


母「あら、そうなの？」


『なんで彼氏だと思ったの？』


母「それは…」

















母「最初に病室に来た時、私ったらノックもしないで入っちゃったんだけど、叶くんが先にいてね？私には全く気づかずにずーっとAの髪を撫でてたのよ。それもとびっきり愛おしそうな顔でね。んもうお母さんキュンキュンしちゃって、てっきり……」















そっか


叶さんは毎日病室に来てくれてたんだから


会わない方がおかしいのか…














それにしても


そんなにつきっきりでそばに居てくれたなんて















母「あらあら、顔が真っ赤よ」



















ちょっぴり



くすぐったい気持ちになった

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