あなたの声に溺れて ２

83話_side叶 ページ38

全員で聴取を受けてから


さらに5日が過ぎていた















黛「叶さん、大丈夫…じゃないよね」


叶「ごめんねまゆくん、ありがとう」


不「とりあえずぅ…飯でも食っとく？」


明「ウーバー？」


葛「絵に描いたような気の遣い方だなぁ」















今日は本社に用事があって


重たい体を無理やり起こして来た


そしたらたまたまこのメンツが受付にいてさ


ほんと、どこまで仲良しなんだ















明「それにしても…かなり大事になったね」


黛「そりゃそうでしょ」


葛「一応運営の方からあいつの無期限活動休止が出されたけどリスナーは納得してねぇしな」


不「他のみんなも配信休みがちになっちゃったし、なんだか寂しいね」


叶「…」















あの日から



配信が出来なくなったのは僕も例外ではなく



毎日配信に定評があった僕が



初めて一週間以上配信を休んでいる















叶「Aちゃん、どこに行っちゃったんだろ」


不「ｽｩｰ…」


葛「おい、叶」


叶「あ……ごめん」


明「かなかな…」


黛「あのさ」















なんとも言えない空気の中



まゆくんの低い声が部屋に響いた















黛「警察の人って受付の出入り記録確認したんだよね？」


葛「あ？あぁ、Aの出入りは朝にあったきり夜までデータにはなかったってよ」














ここの会社のセキュリティはすごくて



僕たちライバーや社員さんなんかは専用のカードみたいなものがあって



それを機械に通すことよって



誰が何時にここを出入りしたかが分かるようになっている















黛「だったらさ」















黛「Aってまだ会社のどこかにいるんじゃないの？」

















叶「………………へ？」


葛「おま、なにテキトーいって」


黛「だってそうでしょ？監視カメラにも映ってないし出入りの記録もない。窓の開閉記録もないんだったらどうやって外に出るのさ。」


不「まぁ、確かに…？」


明「ためしにー……探してみる？」















まゆくんの言葉に


そんなことありえないと思いながらも


もしかしたら、なんて


おそらくここの全員が考えている















葛「俺は探してやってもいいけど？」


不「俺も、ちょーど宝探ししたい気分〜」


叶「…っ」


黛「俺はあの日1番最後にこの会社を出た人を受付に確認してくるよ」


















頭の中に







笑顔が綺麗な彼女が浮かんだ

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