桜とぼくと君 (ページ9)

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3.I got to love you ページ9

北斗side

文化祭、準備期間──────

慎太郎はキャストだから、ほかのバチバチ陽キャたちと一緒に演劇の練習をしている。完全にノリで立候補したはずの王子様役はとても慎太郎に似合っていた。

練習中、慎太郎はすごくかっこいいんだ。

季節はだんだん夏に差し掛かってきていて、汗がみんなの額を流れる。たったそれだけだけど慎太郎はすごく様になる。

だから俺は大道具の制作中も慎太郎ばかり見てしまうんだ。それで全然進まなくて女子日怒られてしまうのは慎太郎のせいってことでいいはず。

「北斗ー、ぼーとしちゃってどしたん?」

「うわぁ!?」

急に後ろから話しかけられたかと思ったら、練習から帰ってきた慎太郎だった。

「慎太郎、練習終わったの?汗すごいよ」

「終わった終わった。いやぁ、照明がむちゃくちゃ暑くて汗すんごいのよ。あ、水も滴るたろちゃん見ちゃう?」

そんなの見ちゃうに決まってるじゃん。でもそれを言うのは悔しいから、俺は素直に言わない。

「要らないから、早く拭いてきてよ。」

「うわあああ、北斗が冷たいーーー」

そんなふうに言いながら慎太郎はタオルを取りに行った。素直で良い奴だ。

俺は知ってる。同じクラスの女の子が慎太郎のことを気になってるって。

だから、特に理由はないけど俺的に1番かっこいい慎太郎をその子に見せたくなかったから早く拭いてきて欲しかった。

だって俺は慎太郎のことが──────。