桜とぼくと君 (ページ13)

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4.fell into you ページ13

北斗side

慎太郎と一緒に自販機まで歩く。

周りにそこそこ人はいるがみんな文化祭の準備に夢中みたいで俺らに声をかけてくる人はいない。

なんだか、この世界に俺と慎太郎しかいないんじゃないかって、もしくは俺と慎太郎だけが取り残されてんじゃないかって、そんな気分。

「北斗、最近めっちゃぼーっとしてんね。なんか悩んでんの?」

慎太郎が俺を覗き込む。キュルキュルで黒目がちな目が相変わらず可愛い。

「いや、別になんもないけど...んー、強いて言うなら...」

「強いて言うなら?」

_______________慎太郎のことが好きだってことに気づいたこと、かな。

なんて、俺は、絶対言わない。慎太郎に気持ちを伝えてはいけないし、そんな素振りも見せてはいけない。だから、だから、慎太郎の真っ直ぐな目が、心配してくれる優しさが俺を苦しめるのと同時にもっと慎太郎を好きにさせる。

「_______________いや、なんもない。最近暑くて暑くて溶けちゃいそうだから、慎太郎にジュース奢って欲しいってことくらい?」

「ははっ、なんだそれ。たろちゃんの奢りは高いぞー?」

「奢りって言ってんじゃん笑ね、早くいこーよ。」

「はいはい、ほくちゃんはわがままだな笑」

うるせえ、ほくちゃん言うななんて軽口を叩きながら体育館の近くにある自販機へと向かう。

慎太郎の笑った横顔にまたひとつ心臓がなる音がした。