21 ページ21
.
〜黒尾 side〜
合宿の日の朝は早い。
まだ日の登らない時間に目覚ましがなって目を覚ました。
部屋の電気をつけて、カーテンを開けて……
すると窓越しに見える向かいの家の窓から微かに明かりが漏れていて。
「……えー……」
思わず声が漏れる。
だって俺のこの部屋から見えるのはAの家で
しかも電気がついていたのはAしか使わない絵を描く部屋で。
俺はスマホを取ってAに電話をかけた。窓を見ながら。
数秒して電話が繋がる音。
『もしもし？』とAの声。
「もしもーし」
『どうしたの？』
「いや……A起きてた？」
『うん』
「今何時か分かります？」
『え…………4時半！？』
「そうだよ(笑)」
やっぱりか。Aのことだから夜通し時間を忘れて絵描いてたんだろうな。
俺がケラケラ笑うと向かいの部屋のカーテンが開いて
部屋着姿のAが顔を出した。
やらかした、って感じの顔。
髪の毛結んでる。可愛い
『わー……おはよ……』
「おはよ。絵描いてたの？」
『うん……』
「見せてよ」
『いや……人に見せるようなものじゃないから……』
「そうなの？」
『うん。ただ心の整理してただけ』
「なに、なんか悩み事？」
『……まぁ、そんな感じ』
「えーなに。ボクに相談しなさいよ」
『もう大丈夫です〜』
スマホ越しにAの笑い声が聞こえる。
よかった。
合宿の前にAの笑った顔見れて。
『てつくん準備しなくて大丈夫？』
「ん、そろそろ下行く」
『合宿頑張ってね』
「ありがと。Aは体調気をつけるんだぞ」
『はーい。じゃあね』
窓の向こうのAは笑って手を振る。
から俺も手を振り返して通話を切った。
……でも俺はAがいなくなるまで見守る。
Aの顔1秒でも長く見てたいから。
って思ったらAが痺れを切らして『はやく行きな！』と口パクで言ってきた。
寂しいじゃん……
と眉を下げて泣き真似をすると『ばいばい！』と言って向かいの部屋のカーテンが閉められた。
呆気な……。でも思わぬログインボーナスだったな
合宿がんばろ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ChachaY - ストーリがもう最高です！！黒尾大好きなのでとっても満足しております！なんか言葉に出来ないほど好きです！これからもがんばってください！ (2月10日 19時) (
レス) id: f1e76f7be4 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - 更新うれしいです！これからも応援しています！ (2月6日 3時) (レス) @page29 id: 120d94ae6d (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 初コメ失礼します！夢主ちゃん可愛すぎません！？私得すぎる...これからも愛読させていただきます...！頑張ってください！ (2月3日 12時) (レス) @page17 id: ea9d7cae20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルカ | 作成日時：2024年2月1日 0時
