手を、2【五条悟】

《生まれてきてくれてありがとう》 ページ42

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〜貴方 side〜

3、2、1……




『悟っ！ 誕生日おめでとう！！』

「おわっ！」




時計が0時0分になった瞬間
私は隣にいた悟に飛びついた。


ソファーに座っていた私たちだけど
不意打ちだったからか、はたまたわざとなのか。

とにかくいつもなら平気で受け止めてくれるくせに今日だけは後ろに倒れて、私が悟を押し倒すみたいな形になった。


まぁ、これもこれで。


私はそのままソファーに肘をついて悟にキスをする。




「ふはっ、やべー。めっちゃ嬉しい」

『今日はずっと一緒にいようね』

「うん」

『生まれてきてくれてありがとう』

「……ははっ、うん」

『私のこと探してくれてありがとう』

「当たり前よ」

『また私のこと好きになってくれてありがとう』

「それも当たり前」

『前世も今世も、幸せにしてくれてありがとう』

「……俺の方こそ、こんなに幸せにしてくれてありがとう」

『ふふっ、悟大好き』

「俺も大好き」




鼻と鼻が触れそうな距離で私は悟の小さな頬に触れて言った。


幸せだ。

大好きな人の誕生日を祝うって
当たり前じゃない。


前世も、今世も。

2回もちゃんとお祝いできないまま悟の誕生日を迎えてしまったから
本当に嬉しい。



悟の腕が背中に回ってきて
そのまま抱きしめられた。




『……重くない？』

「重くない。軽すぎる」




悟の胸に耳を当てる。


心臓の音。



なんでこんなに落ち着くんだろう。


このまま目を閉じたら寝てしまいそう。

悟の誕生日だからたくさん起きていっぱいお祝いしたいのに。




「A、このまま寝る？」

『……寝ない』

「ほんと？」

『うん』

「じゃあシよ」

『え』




と声を上げる間にも悟は部屋着に手をかけていて。


えぇー……

まぁいっか。悟の誕生日だし。


正直こうなる気がしてたよ。




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