手を、2【五条悟】

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〜家入 side〜

『で、結局悟が洗い物してくれたの』

「へー」

『洗濯もだよ！？ 優しすぎない！？』

「やさしーやさしー」




と、特級バカップルの惚気話を聞かされて何分経った？

まぁきっかけは、夏油のベッドに2人で入った瞬間に
「五条とどう？」なんて聞いてしまった私なんだけど。


A、酒を飲んだわけでもないのに夜中までよくこのテンション保つよな

まぁ五条と前みたいに一緒にいられて浮かれてるA、
世界一可愛いから許すけど。



右隣にいるAが不意に左手を天井の方に伸ばす。

その薬指には、五条が(無理やり)贈った指輪。




『……あのね、硝子』

「なに」

『今週末、悟と指輪選びに行くの』

「……え」

『あとね、式場もどうしようねって話してて
今度見学に行くんだ』

「え」




酒で涙腺緩んでるから泣きそう


そんな私に、Aは『えへへ』と幸せ満天の笑顔を向けるから
ダム決壊。




「ううぅ……っ」

『え、硝子！？ どうしたの気持ち悪くなっちゃった……？』

「ちがう、」




私は隣にいるAを思いっきり抱きしめる。

前世よりも華奢な身体。


その身体で、たくさん辛いことを背負ってきて
やっと、やっとだね。


色々な思いが込み上げて来たけど、なんとか涙を食い止める。




「……友人代表のスピーチは私がやる」

『ふふっ、硝子しか頼む人いないよ』

「……うええぇぇっ」




だめだ。涙止まらん。Aが泣かせにきてる。

そんな私を見て
どうしたの硝子〜、とAが私の頭を撫でてくれる。




『ありがとう硝子。前世も、今世も』

「……前世は、許さない」

『えっ』

「アンタの第一発見者私だから。部屋行ってアンタの血まみれの死体見た私の気持ちにもなれ、馬鹿野郎っ、」

『……それは、ごめん、本当に。悟がいなくなって気が狂ってた』

「ほんっとに狂ってる」

『……そこまで言う……？』

「だって、私がいただろ？ なんで何も言わないでいなく……っううぅっ、A〜っ」




ダメだ。気が狂ってるのは私だ。酒飲みすぎた。夏油が次々にお酌してくるから

止めても止めても涙が出てくる。




『ごめん。もういなくなんない。
悟と硝子と夏油くんと、ずっと生きてくよ』

「そうしろ、馬鹿、」




その日私はAと抱きしめ合って寝た。


いい匂い。

Aが幸せそうでよかった


前世の分も、思いっきり幸せになれ



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