手を、2【五条悟】

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〜貴方 side〜

A、着いたよ
ごめんちょっと揺れるね



悟の声だ


この匂い、悟だ




そっか


悟、私のこと探してくれたんだ




目を開けると悟は「お」と呟く。




「寝れた？」

『……ん、寝てた』

「よかった。頭痛は？ まだする？」

『大丈夫』

「よかった」




私は悟にお姫様抱っこされてエレベーターに乗っていた。


歩ける、って言ったら
いいから捕まっとけ

って優しい声で返される。


その言葉に甘えて悟の首に腕を回した。



エレベーターが止まって悟は歩き出す。

そしてとある部屋の前で立ち止まり、慣れた手つきで鍵を開けた。




『悟の家、？』

「うん。Aの家分からなかったし」




バタンと玄関のドアが閉まり、いよいよ2人だけの空間になった。




『もう、おろして』

「逃げない？」

『……うん』




逃げない。

悟が来てくれたのに、もう私は、逃げたくない


まだ少し、怖いけど。



悟は私をおろして家に招き入れてくれた。


家具が少ない部屋。

でもテーブルの上だけはたくさんの紙で散らかっていて。




「ごめん片付けるから座ってて」




悟はそう言うと書類を丁寧にまとめる。


何が書いてあるか分からなかったけど
一枚の紙に

“群発頭痛の病態”

と書いてあるのが見えてまた泣きそうになる。


自惚れだけど、私のため、なのかなって。




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