72 ページ22
.
〜硝子 side〜
それから五条と私は昼休憩の度にAの病室に行った。
昼休憩じゃくても、手が空いたとき。退勤するとき。出勤する前。
まぁとにかく暇さえあればAのところに行って話してるんだよ。
夏油なんて会社のこと社員に任せてほぼ毎日朝から晩まで病室に入り浸ってて。
Aが事故に遭ってからもうすぐ2週間が経つ。
それでもまだAは目を覚まさない。
私はお昼休憩に入ったのでいつものように病室に行った。
すると、
「……あ、硝子」
「なんだ。寝てたの?」
五条がいた。
私がドアを開ける音で目が覚めたのか、
ベッドから顔を上げて欠伸をする五条。
「当直明けなんでね」
「はぁ? 帰って寝なよ」
「Aの顔見たいじゃん?」
“じゃん?”じゃない。
体壊すよ?
私はいつもの椅子に座ってお昼ご飯用に買ったサラダを開ける。
「夏油は?」
「今日は外せない会食なんだって」
「ふーん。社長してんだ」
「ね。珍し」
五条はAの白い手の甲を優しく撫でた。
Aを見るその目、前世となんも変わってなくて
あー本当にコイツはAのこと好きなんだなって。
「そろそろ硝子の誕生日だね」
「そうだけど」
「それまでにA起きてくんないかなー」
「なんでよ」
「みんなで祝いたいじゃん」
「私仕事」
「えー社畜」
……まぁ、残念なことにAは私の誕生日になっても目を覚まさなくて
ただ時間が流れていく。
12月。
「Aー今年は寒いらしいよ」
「冷えるね、暖房つけよっか」
「加湿器明日五条に買ってきてもらお。Aが使うって言ったら買ってくれるっしょ」
「あ、今は夏油の方が金持ってるのか」
……私一人言増えたな……
五条も夏油もいない病室でAとふたりだと永遠に話しちゃう。
「……午後のオペそろそろだから行くね」
返事もないのに、そう呟いて病室を出た。
.
487人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆかり(プロフ) - このまま結婚して、子供産まれるまで書いて頂くことは可能でしょうか? (11月21日 22時) (レス) @page33 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 少々遅れましたが、完結おめでとうございます!前世で幸せになれなかった二人が来世では幸せに生きていけると分かったときには涙が止まりませんでした。これからの二人の幸せをずっと願っています。 (11月21日 1時) (レス) id: 26843e8005 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - 夢主ちゃんと五条、、ずっと二人で幸せに過ごしてくれ、、!!完結おめでとうございます!!! (11月19日 21時) (レス) id: 733585db8f (このIDを非表示/違反報告)
にゃにゃにゃ(プロフ) - 涙腺崩壊しました。ずっとずっと幸せを祈ってます! (11月19日 17時) (レス) @page29 id: 33d0eba731 (このIDを非表示/違反報告)
あひゃひゃひゃしゃしゃ - 神すぎますた (11月19日 16時) (レス) @page29 id: 540adac644 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハルカ | 作成日時:2023年11月16日 15時