手を、2【五条悟】

65 ページ15

.




〜五条 side〜

傑とAが一緒に住んでるって……？


え、気狂う

一緒に寝たりしてるってこと？




『でも、なにもないよ』

「……」




俺は何も言わずまたドライヤーをつけた。

Aの髪が乾いてドライヤーが止まるまでお互い無言だった。



終わったよ、と言うと
Aは振り返って不安そうに俺を見上げる。


そんなAに気づかないフリをしてドライヤーのコードをまとめた。




『……悟、怒ってる、？』

「怒ってないよ。ただ聞きたいことは山ほどある」




ドライヤーをテーブルに置いて、Aをソファーの上、俺の足の間に座らせた。


後ろから抱きしめて すん、と匂いを嗅ぐと硝子の匂い。

あーAのシャンプーとか聞いて買ってこよ




「教えてほしい。Aが生まれてから今までのこと」

『……うん、』




傑とは大学のときに出会って、それからずっと一緒にいた。

頭痛のこともあって傑が起業してからは秘書という形で手伝っていた。

傑が住んでいるマンションに一緒に住み、
体調が良くないときは看病してもらいながら

体調が良ければ秘書の仕事をしているらしい。




「……傑と、なんもしてない？」

『なにもしてない』




同じベッドで寝てるけど、

とAは付け足すから「は？」と思わず低い声が出る。




「そんなのダメ。許せない。あの傑と一緒に寝たら手出されるでしょ」

『手出されてないもん』

「……今度俺が確かめてやる」

『…………うん』




時間差で意味を理解したのか、Aはぽっと耳を赤くした。

かわい


その耳に唇を触れると
Aは耳を押えて振り返る。




『くすぐっ、たい』

「えー耳弱いの前と変わってないんだ」

『……』

「知ってた？」

『……知らな、かった』




は、やば。

ほんとに誰とも何もしてないんだ



可愛すぎるだろ




.

66→←64

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す