手を、2【五条悟】

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〜五条 side〜

俺は馬鹿なことをした。

手紙を残すなんて柄じゃないことしなければよかった。



あの手紙のせいで、Aは前世の自分の最期を記憶から消した。


苦しくて苦しくてたまらなかったのに

俺が、Aの気持ちを考えないで無下にするようなことを伝えたから


Aは死んだ。

それを選んだ。


俺が選ばせた。俺がAを殺した。




腕の中でAは声をあげて泣く。




前世でAはこうやって泣けたんだろうか

俺が死んだ後、気持ちに蓋をして泣けなかったんじゃないのか




「A、ごめん、ごめんね」




俺のせいでたくさん辛い思いをさせてごめん

Aのことをちゃんと考えてやれなくてごめん




「俺、ひとりじゃなかったよ」




ひとしきり泣いた後


Aは乱雑に目元を拭って顔を上げた。



目が真っ赤に腫れている。



そんなAすらも愛おしい。




「A、俺ともう1回付き合って」




涙で濡れた目が見開かれる。




『私、前みたいに体、丈夫じゃ、ないんだよ』

「知ってるよ」

『悟に、迷惑、かける』

「かけていいよ。むしろ頼って」

『前のこと思い出して、泣いちゃうかも、しれない』

「そしたら何回でも言う。Aのおかげで俺は最強でいられた、って。昔も今もひとりじゃないって」




何言われても諦める気はないよ




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