10 ページ10
.
〜貴方 side〜
今日は隅で見学だけをして、18時頃部活が終わった。
他の部員は残るけど
徹とはじめは自主練をしないで帰るらしい。
荷物を持って3人で並んで帰る。
及「で、Aさん」
『……はい』
及「話して。勝手に東京行った理由」
『……』
中学3年の途中で親の離婚が決まった。
その時点で私は母親に着いて東京に行く予定だったけど
両親の優しさで、私が中学を卒業するまで離婚しない。私が卒業したら東京に行けるようにしてくれた。
徹やはじめが青葉城西に受かって、私も受験してないのにしたフリをして、無理やり話を合わせて。
本当は東京の公立高校が決まってたのに、何事もないように引越しの日まで過ごした。
普通でいたかったから。
最後まで、徹とはじめとの関係を変えたくなかったから。
しんみりしたくなかったから。
それに私の言う勇気が無くて。
ふたりに言わないまま、言えないまま東京に引っ越した。
気まずくて申し訳なくて連絡もできなくて携帯を変えた。
でもやっぱり徹とはじめのバレーを見たくて。
一緒に全国に行きたくて。
お母さんに無理を言って、本当に無茶を言って
高校最後の1年だけ青城に通わせてもらえることになった。
家は東京に引っ越す前の家がある。
宮城に残ったお父さんが、小さなアパートに越した後も引き払わないでおいてくれた。
私はお父さんとふたりであの家に住む。
徹とはじめの隣の家。
お母さんはいないけど、
中学のあのときと何も変わらない日常に戻るんだ。
こんなこと許してくれたお母さんに感謝だ。いつか恩返ししないと。
まあお父さんとお母さんの離婚は円満離婚だから
私がお父さんと暮らすことは全然反対されなかったんだけど。
『……て感じです』
岩「意味わかんねえ」
『ウッ』
一通り話して家に着きそうだったから、途中にある小さな公園に立ち寄って3人でベンチに座って話していた。
話し終えて最初に口を開いたのははじめ。
辛辣な一言にダメージを受けなかったわけではない。
でも悪いのは私だから。
岩「せめて連絡くらい返せよ」
『……ごめん……』
岩「及川もなんか言え」
はじめの言葉に、不自然なくらい黙りこくっていた徹の方を見ると
『ん、わっ』
隣に座っていた徹が突然、私をぎゅうっと抱きしめた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 769人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メルン - 文才凄すぎて羨ましいです!!続き楽しみに待ってます!!応援してます💪 (2月25日 16時) (
レス) @page22 id: b9ee1d4dd6 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - 新作楽しみにしてました！応援しています！ (2月25日 2時) (レス) id: 120d94ae6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルカ | 作成日時：2024年2月23日 16時
