俺のはんぶん【及川徹】

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〜貴方 side〜

重いって言われるけどそんなに重いかなぁ

私だって徹が浮気したら普通に死ぬと思う。


そのくらい、大きな存在。




「じゃあこの英文ー……江崎読んでくれ」

『はい』




ゴールデンウィークが明けた。

朝練をして学校の授業を受けて放課後も部活。




「はいいいぞー」




先生に指された英語の文章を読み、席に着く。


……急に指名されたからビックリした。

ぼーっとしてたのバレたのかな。




「じゃあ次のページー」




と先生の言葉を惰性で拾って教科書を捲る。

すると、


とーる♡A

……なんとも頭の悪そうな落書きがされていた。


しかもボールペンで。


前の時間徹に教科書貸したからだ……

人の教科書に何してくれてんの。


と思いつつも
中学もお互いの教科書に落書きしまくってたっけって懐かしくなる。

3人バラバラなクラスのときははじめも混ざって3人で。

絵しりとりとかし始めて、先生にバレてなぜか徹だけ注意食らってた。ごめん。




「なにニヤニヤしてんだよ」




気がついたら授業が終わり、前の席のはじめが振り返ったかと思えばそう言う。

私は教科書をはじめの方に向けて見せた。




『見て』

「……うぇ」

『可愛いよね』

「どこがだよ」




眉間に皺を作って、あからさまに嫌そうな顔をするはじめ。




『なんか懐かしくない？』

「中2の国語の教科書」

『そうそれ！！』

「余白全部で絵しりとりして及川だけ怒られてたやつな」

『あれなんで徹が怒られたんだっけ』

「及川の教科書だったからだよ」

『あーそうだっけ。申し訳ないことしたな』

「及川未だにその教科書取っといてるからいんでねーの？」

『そう？』

「おう」




英語の教科書の落書き。

徹の字、中学のときより綺麗になってるな。


幼なじみでずっと一緒にいたのに
私が知らないことたくさん。




『ねえはじめ』

「あ？」

『徹ってさ、私がいない間もモテてたわけじゃん』

「……おー」

『どんくらい告白されてたの？』




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