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〜貴方 side〜
嫌だ。
嫌だ。
ズキン、と、右足が痛む。
「A、大丈夫……?」
『……ん、ごめん。大丈夫』
徹に連れてこられたのは部室。
鍵を閉めて徹は私をベンチに座らせた。
その隣に徹も座る。
「……ちょっとここにいよう」
『……ごめん徹』
「んーん。いいの。いいんだよ」
徹の大きな手が私の髪を撫でる。
そのまま私は遠慮気味に徹の肩に頭を預けた。
影山を見ていると苦しくなる。
何もかも恵まれていて、それでいて気づかなくて仲間から切り離された影山。
なんで。どうして。
影山は才能にも体格にも機会にも恵まれているのに
なんで、あんな風になってしまったんだろう。
どうして気づかないんだろう。
コート上の王様なんて不名誉な名前を与えられて。
どうして平気な顔してバレーを続けられんだろう。
とん、とん、と
ゆっくりのペースで徹は私の肩を優しく叩いてくれる。
私の気持ちを落ち着かせるみたいに。
大人だね、徹の手綱握ってて偉いね、なんて言われるけど
大人なのは徹の方だ。
「やんなっちゃうよねぇ」
『……っ、』
「才能と健康な体持ってるくせにね」
穏やかな声。
徹がいなかったら私は影山に自分の黒い気持ちをぶつけて傷つけていた。
そうしないでいられるのは、徹のおかげ。
『……徹、ありがとう』
「んーん。こんくらいしか俺できないから」
やっぱり徹が好き。
大好きだ。
『徹がいてくれてよかった』
心の底から、そう思うよ。
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メルン - 文才凄すぎて羨ましいです!!続き楽しみに待ってます!!応援してます💪 (2月25日 16時) (レス) @page22 id: b9ee1d4dd6 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - 新作楽しみにしてました!応援しています! (2月25日 2時) (レス) id: 120d94ae6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルカ | 作成日時:2024年2月23日 16時