俺のはんぶん【及川徹】

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〜影山 side〜

青葉城西との練習試合。


青葉城西、と言えば
及川さん、岩泉さん、金田一、国見、そしてAさんがいる。



バスが着いて体育館に入ると




「っ、Aさん！！」




コートの隅で何やら作業をしているAさんを見つけた。

俺が名前を呼ぶと、田中さんが「お前マネージャーとも知り合いなのか！？」とビックリしてた。


目線の先のAさんは、俺の声が届いていないのか作業を続ける。




「……ちょっとすんません」

澤「あ、おい！」




俺はキャプテンの言葉を無視してAさんの方へ駆け寄った。




「Aさん」

『……うわ、なに』




そばでもう一度名前を呼ぶと
しゃがんでいたAさんはゆっくりと顔を上げる。


……変わってない。

いや、綺麗になった。




「俺のこと、見ててください」

『いや……私青城のマネージャーだから』

「ちょっとでいいですから」

『……はぁ。分かったよ』




……よっしゃ

今日こそAさんに認めてもらうぞ。そんで＿＿＿




「あの、」

岩「Aー、ビブスくれ」

『あ、うん』




バレー、教えてください

そう言おうとしたら岩泉さんの声に遮られた。


Aさんは俺の方を振り返らずに青城のみんなにビブスを配る。



……俺はまた、Aさんのプレーが見たいだけなのに。


ぐっ、と無意識に手を強く握ってしまっていた。





俺の憧れの選手、江崎A。


中学生1年生にして異例のユース合宿参加。

代表入りも時間の問題と言われていた、天才セッター。



でもそんなAさんはある日突然バレーを辞めた。



いきなりすぎていつかは忘れたけど
俺が北一に来たときには既にバレーはしていなくて

なぜか男子バレー部のマネージャーをしていた。


なんでか聞いても絶対に答えてくれない。



そんなAさんはいつも及川さんの隣にいた。



羨ましい、な

俺の前でもAさんにあんな風に笑ってほしいな




……でも今日は及川さんはいない。




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