1次試験 4 ページ16
「お、やっと見つけたぜ」
闇に慣れた目に映る金色の髪は少し眩しく感じた
レオリオは薄く目を細めると、更に足を速めた
「クラピカ!」
「……レオリオ?」
呼んだ声に一呼吸おいてクラピカが振り向く
猫目がちな瞳を大きく開けた彼は、珍しく間の抜けた顔をレオリオに向けた
「…もう、お前の顔を見ることはないと思っていたのだが。案外、しぶといんだな」
すぐに気を取り戻したのか、いつもの背伸びをした生意気な態度の声を聞くと、クラピカに聞こえないようレオリオは小さく笑った
「当ったり前よ!レオリオ様の本気はまだまだこれからだぜ」
本当はクラピカの様子が気になって探しにきたのだが、そんなこと言えばこの偏屈は気を悪くしてまたどこかに行ってしまうかもしれない
だから、あえて調子を上げた口調でレオリオはクラピカに答えた
ちらりと、レオリオを見るとクラピカは視線を前に戻す
彼にしては、小さな声でお節介な連れに尋ねた
「ゴン達はどうした?」
その問いかけに、おっ、と眉を上げる
「後ろで騒いでやってるよ。ま、お前よりも楽しそうに走ってっから、そう簡単にくたばんないだろうぜ」
そう答えると、クラピカは息を漏らして、そうか、とだけ呟いた
クラピカと出会う前なら、無愛想な奴だと思うかもしれない
堅苦しい言葉や単独行動の多さから、彼は人との距離を無意識的に避けている
だけど、
「レオリオがいるなら、私もそう簡単にくたばりそうはないな」
「おうよ!クラピカがくたばりそうになったら無理やりでも連れてくぜ!」
「まぁ、お前の方が先に音をあげるだろうが」
「何だとぉ!?」
そう言って、笑うクラピカの声を聞いてレオリオは思う
誰よりも人の温もりを望む彼を、
誰よりも不器用な彼を、
ほっとけるわけなんてないのだ
ずっと同じ場所で立ち止まるクラピカを、レオリオは素通りすることなんて、できるわけがなかった
クラピカとは似ても似つかない幼い頃の親友がレオリオの頭をよぎる
あいつのときだってそうだったんだ
側にいようと思う奴は直感的に分かる
「うおぉぉー!!やってやるぜー!」
突然、叫んで猛スピードで走り出す
そんなレオリオの奇行に他の受験生は白い目を向けるが、クラピカだけは小さな笑い声を零していた
いつのまにか呼吸が楽になっていることに気づくと、こんな暗闇さほど怖く感じなくなっていた
唇を強く噛むと、クラピカは駆ける足を速めた
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純花 - 頑張って下さい! (2019年10月5日 10時) (レス) id: d5c5fac556 (このIDを非表示/違反報告)
柊 ニイナ - 久しぶりに更新をしてみたら、なんということでしょう、星が黄色になっていました。評価して下さった方、お気に入り登録して下さった方、小説を読んで下さってる方、本当にありがとうございます。気まぐれな作者ですが、これからもよろしくお願いします。(o´ω`o) (2015年8月20日 0時) (レス) id: 00fd6c485f (このIDを非表示/違反報告)
◇ライト◇(プロフ) - 柊 ニイナさん» はい!楽しみにしてます(*´∀`) (2015年3月6日 23時) (レス) id: 27e7b74444 (このIDを非表示/違反報告)
柊 ニイナ - ◇ライト◇さん» ◇ライト◇さん、ありがとうございます。学生の敵(テスト)をやっと倒せたので、これからは更新率増やしていけるよう頑張りたいと思います。 (2015年3月6日 5時) (レス) id: dfd590a73e (このIDを非表示/違反報告)
◇ライト◇(プロフ) - すごく続きが気になります!更新頑張ってください!! (2015年3月5日 1時) (レス) id: 27e7b74444 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 ニイナ | 作成日時:2014年12月10日 22時