彼女はもともとⅢ (ページ47)

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狂ったお茶会ページ47

『あっ？！』

階段を踏み外しそうになったとき、ナワーブは私の腹をぎゅうっと握りしめ「バカ！」と叱る。

二人して尻餅を着くとすとん、と彼の膝の上に乗る。

『ナワーブがばかだよ、怪我してるのに』

トマトの潰れるぐちゃりという音が
頭によぎり、どっどっと心臓が鳴る。

妹の潰れた音。

「おめーなぁ…」

はぁ、とため息をついてべしべしと頭を叩いた
くしゃくしゃと私の髪を乱す

乱れる思考に、息が出来るようになりやっとの事で声が出る。

夕方はみんなが夕食を食べに来る時間。
部屋で考え事をしていた私は少し遅い時間に食事を取ることにしていた。

『いたいです！』

「痛くしてるんですぅ～！」

『なにそれ、私の真似？』

「ハンターに追われてたAが板を当てられて痛いと言った黒い方に言った迷言だな」

なんだとー？！と両手を挙げたときにふと目に入る痛々しい包帯
松葉杖は一本下の方で倒れていて、拾ってくるよ。と立ち上がった

「捻ってねーか？」

『大丈夫』

松葉杖を手渡す
松葉杖の持つ方を握りしめ、彼は私にバーンと
銃を撃つように構えた。

そしてふっ、と笑うと

「…誰がやったんだろうな。」

と視線を下げた。

私もなんて答えればいいか分からない。
荘園主が、はたまた偶然だ。

どちらか分からない状況下では答えることは出来ない。
しんとした空気に飲み込まれてしまった。

『…痛くない…？』

「痛くない。」

気にすんな。
と、優しく微笑んで頭を撫でてくれる大きな骨張った温かい手が

《「今度、また、兄弟になるならば
今度は普通に産まれて」》

『……ナワーブがお兄様なら多分私もひねくれなかったよ』

「ふはっ！」

ケラケラと子供のような笑い声でいつまでもおかしそうに笑っている彼に

何がおかしいか分からないと不満げに見下げる。
手を貸して。と言われ立たせると彼はひとしきり笑ったあと、ふぅーと息をつくとわしわしと頭を撫でる

「おまえは俺の兄弟だろ！」

それは私が上？と聞けば
何言ってるんだ俺が上だろ！と、不満げに抗議する。

「変わったよな。おまえ。」

『そう？今の私は嫌い？』

「いんや、今のあんたの方が俺は好きだ」

最初のあんたのあの取り繕った丁寧口調とか、おどおどされるのイライラするんだよな

彼は何かと失礼だ。

それでいて

きちんと私を見ていた。

『私も、今のナワーブが好きだよ。』

「……嫁入り前の女が好きなんて軽々しく言うな」

『兄弟なんでしょ？』

夕食は何かなぁ～と
今度は落ちないようにゆっくりと階段を降りた。