彼女はもともとⅢ (ページ41)

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お友達ページ41

『引き分けだから負けではないわ。』

「まぁ次は楽しませてくれ」

ケラケラ笑いながら去って行った幼女神ハスターと爪楊枝が本体の写真家の後ろ姿に
ムスーッと頬を膨らませるとその頬をぷすぅっと潰される。

「可愛い顔が台無しだぞ」
「A大丈夫だったか？」

『エリー、ナワーブ、試合帰り？』

「おいおい、エリーって呼ぶの勘弁してくれよー」

ケラケラと笑い出してしまったナワーブにナワ子チャンと笑うと

ぴたっ、と笑いが止んでぐにぐにとほっぺたを引っ張り始めた

『やめへよー』
「悪いことをいう口はどの口だぁー？」

この口ー！とウィリアムは私の口を指さした
この口かー！と私の頬をぐにぐにと引っ張った

『うりゃー！！反撃だー！』

ばすっ、とクッションを投げるとナワーブはひらりとよけて後ろのウィリアムに当たる。

「うぉっ？！やったなー？」

枕投げならぬクッション投げが始まると、おなかをすかせたトレイシーが顔を覗かせた。

ナワーブの投げたクッションが私に当たり、私の投げたクッションはトレイシーの顔面に当たる。

「うぎゃ！
やったなぁー！」

馬鹿みたいに騒げる友達というのはとてもうれしいし、楽しい
この感情もここに来てから初めて感じたことで、友達の大切さを身にしみた

あの頃絶対味わうことの無かった楽しさや満たされる感じが、子供の時の人形の私の空白を埋めた。

子供のように馬鹿みたいに騒いだのが五月蠅かったのか、イライが部屋に様子を見に来た。

彼はニコニコと私の手を引き隣に座らせるとその場が落ち着くのを待った。
一人、二人と部屋から居なくなっていき、イライは楽しかったかい？と聞いた。

『今も楽しいよ。イライももちろん私の大切なお友達だからね』

友達、か。と彼は下を向き私の方に向き直った。

「ねぇ、これを見てくれないかい？」

言われるがままに手のひらを見る。
彼は徐に顔の側に手を寄せるとわたしの頭の後ろへと包み込むように近づけた。

蒼い目が私をしっかりと捉えた。

あれ？面布外して─

『……ふ、んぅ！？…ぅあ、……ちゅ…、ん』

酸素を奪われそうな荒々しい噛みつくようなキスに抵抗しようとしたのだが

弱々しく私の体を押さえる彼の手が払えなくて
何も出来なくて

そして何より

(どうして)

どうしてその目は悲しそうなの？

『んぅ？！ん…ぁ、……』

チカチカと目の前が真っ白になってずるずるとしゃがみ込む私の腰に手を回し支えてくれた

彼ははーっはーっと荒々しく呼吸をするわたしに悲しそうに話しかけた。